山種美術館・竹内栖鳳展

 仕事で広尾に行った帰りに、山種美術館へ。竹内栖鳳展を見てきました。

 動物を描いた日本画は美しさ、存在感と画家の個性を感じて、1度目はぐるっと全体を見て、2度目は良いなと思った画を再度見ました。有名な猫の絵を始め、鳥や虫も素晴らしく、写実的であるけれど写真とは違う形で、それぞれの生き物らしさが伝わってきます。

 画家はどのようなことを考えて、この絵を描いたのだろうか、という素朴な疑問に答えてくれるのが、添えられた解説文でした。徹底的に観察し写生をすること、写生を重ねると、どの線を生かしどの線を描かないか分かってくること、そして実際に絵を描く時は対象物をそばには置かないこと等が竹内栖鳳の言葉として紹介されています。

 この考え方は、記者のあり方にも似ていると思いました。良い記者は徹底的に取材をして、その多くを書きません。たくさん取材をしていくと、何が本質で何がそうでないか分かってきます。そして、いざ原稿を書く時、取材メモをそのままうつすことはしない。

 展示されていた画自体が素晴らしい上、簡潔で的確な解説文は鑑賞をさらに楽しいものにしてくれます。