比叡山延暦寺・滞在記~国家統治機構から平和記念の場へ

 今年読んだ日本の古典文学にしばしば登場した、比叡山延暦寺へ行きました。

 

 仕事とは別に今年読んだ本の一部。日本の古い作品が多いです。

 比叡山の山中には古今和歌集を編纂した紀貫之のお墓があります。ここまで来るのはちょっと大変で、1時間ほど登ると延暦寺などがあるエリアに出ますが、降った雪が凍りついて滑るため、けっこう怖かったです。

 

 

 比叡山のふもとからケーブルカーで登り、10分ほど歩くと延暦寺があり、宿坊・延暦寺会館があります。外観は観光ホテル、大浴場もありゆっくりできます。

 

 

 食事は精進料理。お豆腐や湯葉と野菜を煮物・揚げ物・鍋物など様々な調理方法で提供します。朝はヨーグルトも。

 

 琵琶湖が見える部屋を指定して予約したところ、明け方から夜まで素晴らしい眺めでした。山から湖を超えて向こう岸まで飛んでいきたくなる感じ。


 朝は7時から根本中堂でお勤めがあるので、6時45分頃に宿を出ていくと参加できます。お経とお坊さんのお話を聞いて約30分。初心者にも分かりやすく話してくれます。延暦寺の仏様は参拝する人と同じ目線になっていて、他のお寺でよくあるように見上げる感じではないこと等、興味深く聞きました。

 道中、予習で読んだ本や境内の解説を読むと、かつて仏教を通じて国を治めていた時代、お寺は大学と国家公務員養成機関を兼ねていたことが分かります。

 

 

 2泊3日滞在し、中日は周辺を歩きました。冬はシャトルバスが運休、道が凍っていて危ないので、歩けそうなところを探して下って行き、ハイキングをして先に載せた紀貫之のお墓を通ってまた山を登って延暦寺に戻ってきました。こういう道を500年前に織田信長の軍勢が攻め上ったのか…と想像します。

 

 

 ケーブルカーに乗ると途中で、かつて信長が比叡山を焼き討ちにした際、殺された人たちの霊を慰めるために、麓の人々が作った石仏がたくさんあります…というエリアを通ります。歴史そのもの、という場所です。

 

 印象的だったのは、延暦寺の敷地内にあった日本・中国・韓国の天台宗僧侶たちが集まって平和を願った記念碑です。日本の仏教は中国由来です。かつて国家統治機構の一翼を担った延暦寺が、1000年以上を経て宗教専門職による平和祈願の場になっているのだなと思いました。