アメリカで行った調査が本になりました。


内容はタイトルの通りで、アメリカの共働き夫婦がどんなふうに家事育児分担をしながらお互いのキャリアを伸ばしているか紹介しています。こちらの日記でも繰り返し触れているように、アメリカの公的育児支援は貧弱で、有給の育児休業制度すらありません。にも関わらず、働く女性は日本より多く、その経済的地位は日本より20年以上進んでおり、出生率も先進国にはめずらしく2.0に達しています。その背景にあるものは、夫の家事育児参加なのでは、という仮説のもと、2006年夏から1年間、現地で文献調査とインタビューを行いました。その結果をまとめたものです。


私はふだん出版社で雑誌記者として働いていますが、この企画は会社の仕事とは切り離して仕上げました。もともと、会社を休職してフルブライト留学中に調査を行ったため、この期間は無給。取材旅行の経費も資料代も自腹で、気がつけばかなりの額を使っていました。インタビューの申し込みはミシガン大客員研究員として行ったため、事前に膨大な書類を大学に提出し、承認を得ることが義務付けられました。インタビュー対象との間には守秘義務契約書を取り交わして、プライバシー保護の手続きを踏みました。そもそもアメリカにはほとんど知り合いがいなかったため、インタビューに応じてくれる人を探すのも一苦労。


日本でやっている記者の仕事とは価値観もプロセスも異なる環境は予想外にストレスが多く「せっかく会社を休んで外国で暮らしているのに、何でまた仕事みたいなことを始めちゃったんだろう…」と思ったこともしばしばです。産休中に執筆したため、慣れない育児との両立も大変でした。


そんなわけで、この調査が本になってくれたこと、それもジェンダー分野の研究書で名高い出版社から出していただけたことは大変に嬉しいものでした。表紙などはこちらからご覧いただけます。