2011-01-01から1年間の記事一覧

「女性にも経済力、男性にも家事能力」というのは、ふた昔以上前からフェミニストが主張してきたことなので、経済事情が理念に追いついた、と言えそうです。

特に男の子には。

5年前、米国で共働き子育て夫婦について調査をしました。米国女性はなぜ、日本女性より経済的地位が高く出生率も高いのか。政府の育児支援は貧弱なので、夫の家事育児分担が貢献しているのでは…と考え、文献を読んだりインタビューをしてきた結果、次のこと…

10年ぶりに祖母が住む町を訪れた。

子どもの頃、夏休みに母親と一緒に行った同じ場所へ、当時の母より年を取った自分がいるのは少し不思議な気分だった。当時と違うのは、新幹線とローカル線ではなく、飛行機と車で移動していること。母に手を引かれているのではなく、自分が幼児の手を引いて…

グローバル化とダイバーシティ、ワークライフバランスについてお話しました。

いわゆる「女性活用」の必要性を強く感じている部長さんからのリクエストでした。ビジネスが世界に広がると、当然、顧客も社員も多様になるので、仕事と私生活に対する考え方も変わっていきます…といったことを、国内外の事例とデータからご紹介しました。「…

追記

昨日の夕方から今朝にかけて、たくさんアクセスいただきました。全国の主要国立大学アカウントからの深夜アクセスが多く、パパ研究者のWLB問題の深刻さをあらためて実感しました。皆さん、がんばってください!

米国の男性研究者による「仕事と育児の両立体験談」。少し前にご紹介した"Mama, PhD"の男性版です。

"Mama"を読んだ時は、米国の研究者コミュニティーが働く母親にあまりに厳しいので驚きました。筆者のバイアスかな?と思い、事情を知っていそうな人に話を聞いてみたところ、どうやら書いてある通りのようです。話した相手はアイビーリーグで終身在職権を持…

米国のパパ研究者が「書くこと/書かないこと」から分かること

Papa, PhD: Essays on Fatherhood by Men in the Academy作者: Mary Ruth Marotte,Paige Martin Reynolds,Ralph James Savarese出版社/メーカー: Rutgers Univ Pr発売日: 2010/12/01メディア: ペーパーバック クリック: 18回この商品を含むブログを見る

夫の育児休業などについて、夫婦でお話しました。

企画してくださったのは杉並のNPOクレオの赤池さん。ありがとうございました!

国内に植民地を作る

結局「外国人だから」、今の相場より格安で家事や育児をやってもらおう、と考える時、しわ寄せは働く人の生活にきます。これまで日本女性は家事育児を一手に引き受けてきました。男女差は諸外国と比べてもかなり大きく、女性の我慢のもと、家庭生活が成り立…

働く側にメリットはあるのか

…ここまで、家事育児を「頼む側」の立場から考えてきましたが、その仕事を「引き受ける側」から見たらどうでしょう。働く親向けのサービスと考えると、ニーズの大半は夕方から夜に発生します。昼間は介護など、別の「主婦的仕事」を請け負って、複数掛け持ち…

移民に発注する場合の適正価格は?

家事育児を「発注する側」から見た、移民受け入れのメリットは「今より安く頼める」か「同じ値段で、より質の高いサービスを頼める」ことでしょう。質については、人それぞれなので置いておき、ここでは価格のみを考えてみます。 一般的なシッターさんの時間…

現状の福祉サービスの価格

こういった市場化されたサービスの他に、自治体が手掛けているボランティアベースのものもあります。育児はファミリーサポートセンター、家事はシルバー人材センターなど。料金は地域によって異なりますが、私が住んでいる自治体(23区内)では、どちらも1時…

現存する市場サービスの価格

第二に、これが一番大きいのですが、費用の問題です。まず、現状、日本で提供されている家事育児サービスの費用を見てみます。 育児サービス、いわゆるベビーシッターの場合、相場は1時間1500円。シッターさん本人は1000円取り、残りはシッター会社が斡旋料…

彼女たちはどこに住むのか?

まず第一に住居の問題があります。日々、こまごまと発生する家事を完全に外注し、それから解放されようと思ったら、住み込みで人を雇うのが一番。でも、都市部でメイドさん/シッターさんが住むために一部屋用意できるような家庭は、そう多くないでしょう。…

多様なニーズに応えるのは大事

もちろん、選択肢は多様な方が良いです。駐在員など、英語話者のシッターさんや家事サービス従事者に、家や子どものことを頼みたい人は少なくありません。ある外資系企業の女性役員から、シッターさん・メイドさんのビザをスポンサーするにあたって、日本の…

私は、疑問に思っています。

WLB

日本の少子高齢化や低い女性労働力率の問題は、海外からも広く認知されています。この問題を扱った英語の記事では、いつもいつも、同じ解決策が提示されています。必ず出てくる解決策は「移民を受け入れ、家事育児サービスを担ってもらい、今、家庭に入って…

日本企業の女性活用動向について、どちらかというと厳しい見方をしているのですが、ここへきて思わぬ援軍の存在に気づきました。

それはお父さんたち。特に成人した娘を持つ父親たちの発言に真剣さを感じることが多いのです。 父親が娘をどう育てるか。パターンは2つあるでしょう。1つめは「女の子であること」を強調する場合。2つめは勉強や就職で「頑張ってそれなりの結果を出すこと」…

夫はつい最近まで、1カ月の育休を取っていました。

政府や企業の取り組みやイクメンブームもあって、少しずつですが男性の育児休業経験者が増えている様子。今日は妻の立場から、夫育休についてちょっと書いてみます。 第一子の時、夫は、家事全般をやっていました。退院後、身動きが取れない私に代わって買い…

どうすべきか。解決策は国境・業界超えて同じ

最終ページ近くに記されている解決策は2つです。 1)パートタイムの待遇改善 大学で非常勤講師や客員研究員として働くと、低賃金不安定雇用になります。同一価値労働同一賃金を徹底すれば、夫婦揃って短時間労働を選択することもできるようになり、両立が容易…

上手に両立している女性研究者の特徴

前に記したように、寄稿者の雇用主や分野に偏りがあるため、単純に一般化はできません。ただ、本書の中でも、数学を使う研究分野の女性たちのエッセイは「アカデミアで働きながら育児することのメリット」を記す傾向にありました。 ある経済学者は、自分で産…

働く母問題を率先して語るのはどういう人々か

読み進むうちに、米国の大学で起きている妊婦・母親いじめと呼ぶしかない状況に唖然としました。上司に妊娠を告げたら迷惑そうにされたとか、それじゃあ、職を見つけるのは無理だと言われたとか、大学の育児支援制度について教授会に提案したら「そんなもの…

ミルク漏れ問題:産後休暇がないと、どうなるか

本書で多くの母親研究者が記していたのが「母乳が沁み出てきて困る」という話でした。これは、日本ではあまり聞かない悩みかもしれません。生後数週間は2時間、3時間ごとに母乳をあげることが多いです。少しずつ頻繁に飲む赤ちゃんの場合は、30分とか1時間ご…

“安定して食える”までのハードル:日本との共通点も

米国のアカデミアでは、大きく3つのハードルがあります。1)大学院生時代(PhDを取るまで)、2)安定につながる職を得るまで、3)終身雇用になるまで。 男性の場合、3)に到達しある程度、仕事が落ち着いてから子どもを持つという選択肢がありますが、女性の場合…

アカデミアの仕事=大学の“先生”ではない:前提として

以下、アカデミアの方には自明なので飛ばしてください。 日本で「大学の先生」というと「教育者」のイメージを持つ人が多いと思います。また、実業界で「上がり」になった人が、若い人に好きなことを喋って余生を送るためのポジションだと誤解されることも多…

Mama, Ph.D.: Women Write About Motherhood and Academic Life作者: Elrena Evans,Caroline Grant出版社/メーカー: Rutgers Univ Pr発売日: 2008/07/30メディア: ペーパーバック クリック: 31回この商品を含むブログ (1件) を見る

タイトルは「ママ博士」とでも訳すのでしょうか。母親業とアカデミアでのキャリアを両立するのが、いかに難しいか記した本。 日本と共通する問題もある一方、日本の制度の方がいいな、と思う面もあり、色々なことに気づかされます。もちろん、これから米国の…

追記:

もうひとつ思い出した。質問に出てきた「私の周りの(保守的な)男子像」と、私自身が仕事で知り合った早稲田卒男性のギャップが大きくてびっくりしました。 もともとマスコミには早稲田出身者が多いのですが、私の周囲にもたくさんいます。たとえば、私が書…

 皆に好かれようと思わない

今も学生時代の男友達の数人とは、仕事半分、雑談半分でやり取りしています。「会社辞めたくなったー」なんて愚痴ると的確なアドバイスをくれる彼らは、決して「家庭に入ればいいのでは」などと言いません。この点は、夫と全く同じです。私の仕事を見て連絡…

 なぜ女役割を押し付けられなかったのか

勢い、発言はコンサバティブになりがちですが、振り返ってみると、学生時代の私に対して「女性は家庭に入るべき」とか「僕は結婚したら妻には主婦になってほしい」と言う人は、ひとりもいなかった。もちろん、すでに今の夫と付き合っていた私は、彼らから見…

 保守的な男性たちから「好かれない覚悟」はありますか

一言でいえば「女性が本当に仕事と育児を両立し、将来の夫に家事育児をやってほしいと思うなら、日ごろからそういう発言をしておく方がいい」ということです。ちょっと厳しい言い方をすれば「保守的な男性ばかり寄ってくる場合、女性自身が何かそういう人を…

 「保守的な男性を変えるには?」

いただいた質問で一番多かったのが「どうしたら男性の意識を変えられるのか」というもの。「俺が稼ぐ」意識の強い人は家事育児をしないから、共働きで子育ては無理。どうしたらいいのか。「女性も働いたらいい」とは言うものの、自分が家事育児をするつもり…