日本企業の女性活用動向について、どちらかというと厳しい見方をしているのですが、ここへきて思わぬ援軍の存在に気づきました。


それはお父さんたち。特に成人した娘を持つ父親たちの発言に真剣さを感じることが多いのです。


父親が娘をどう育てるか。パターンは2つあるでしょう。1つめは「女の子であること」を強調する場合。2つめは勉強や就職で「頑張ってそれなりの結果を出すこと」を期待する場合。


タイプ1の父親は「女の子は大学なんて行かなくていい」とか「女の子は浪人/一人暮らしさせない」という発想です。こういう人、地域によってはまだいますよね。


けれど都市で働くホワイトカラーの父親たちは、タイプ2が増えているのではないでしょうか。女の子も男の子と同じように勉強させる。もちろん、孫の顔は見たいけれど、結婚・出産よりまずは受験。そして就職を頑張らせたい。彼らが娘に求めるものは、妻に求めてきたものとはだいぶ異なります。娘を相手に仕事の話も結構します。


そうやって男の子と同じように育てた娘が結構、優秀だったら?


お父さんたちは気づきます。「自分の会社で働く若手の男性たちと比べて、我が娘は何も負けていないじゃないか」と。もう一歩つっこんで考える人もいるでしょう。「こいつよりうちの娘の方が仕事、できるんじゃないか?」と。


いわゆるエスタブリッシュメント層の男性たち、40代、50代、60代のビジネスマンの中に、真面目に女性活用を考える人がいます。彼らは成功したビジネスマンなので、良い会社に勤めて高いお給料をもらっています。奥さんは主婦です。住宅ローンと私立学校の学費を払っても、結構やっていけます。でも、彼らは娘の世代の女性労働者について驚くほど寛容で親切です。


この人、共働きの必要がないのに、どうしてこんなに働く女性の置かれた状況をよく理解しているんだろう。不思議に思って尋ねてみると、彼らには総じて「優秀な娘」がいるのでした。ある大企業に勤める管理職の男性は、研修があると必ず女性社員にも参加させていると言います。


「うちの娘が社会に出る頃に、もっと女性が働きやすい状況にしたいと思うんですよ」。こういう「本気の人」が女性活用を担ってくれたら、変化はより速く訪れることでしょう。