2012-01-01から1年間の記事一覧

普通の人の視点に立って

著者は女性総合職第一期生として本田技研工業に入社、20代でアメリカに渡りスタンフォード大でMBAを取得後、NTTアメリカ、通信関連のベンチャー企業を経て独立しコンサルタントとして活躍する2児の母。どう考えてもすごい人のはずですが、自身を「普通」と呼…

日本のワークライフバランス改善に必要なこと

私が本書のなかでいちばん感動したのは、このくだりです。 あらゆる企業でいつも人が動き、自然に「捨てる神あれば拾う神あり」の状態になっていることが望ましい。(中略)出産・育児でいったん仕事を辞めても、仕事に戻りやすくなり、女性のキャリア選択肢…

5年経っても有効な指摘と提案

本書刊行から5年弱が経った今、日本の内向き志向を批判する言説は、メディアでも広く提供されている。経営者などリーダーからは、特に若者の内向き志向を嘆く声がよく聞こえてくる。生まれた時から先進国。インターネットも携帯電話もある。満足しすぎて頑張…

シリコンバレー在住のコンサルタントが記した日本論というと「英語喋れない自分には関係ない」と思う人も多いかもしれない。

これは、そういう“普通の日本人”こそ読んでほしい本です。特に普通の働くお父さんお母さん達に。 題名の「パラダイス鎖国」に本書の趣旨は凝縮されている。豊かな先進国として美食と綺麗な街と安全と安定を享受している“パラダイスな日本”。一方で各種指標か…

“普通の日本人”こそ読むべき元気が出る日本論

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)作者: 海部美知出版社/メーカー: アスキー発売日: 2008/03/10メディア: 新書購入: 33人 クリック: 744回この商品を含むブログ (228件) を見る

女性はただ思い切り働ければよいというものではない

最後に、私がこの本を素晴らしいと思った一番の理由は、著者が長い育児休業を取ったからとか、男性なのに仕事より家庭を優先したから…ではありません。仕事と育児と夫婦のあり方、そういうものへの理解が細部にわたっているからです。育児休業を取得している…

男性はフリーで働いていても「主夫」を名乗る

さて、本書には「主夫」とありますが、著者は無職ではありません。フリーランスで翻訳やライターの仕事をしています。興味深いのは、男性の場合、フリーランスで仕事をしていても「主夫」と自称するケースが多いことです。これはアメリカでも同様でした。 一…

女性なら珍しくない選択が男性にも開かれてきた

ところで、著者のような選択は、女性ならばさほど珍しくありません。子どもとの時間を確保したいから育児休業を目いっぱい取るとか、家族一緒に暮らしたいから夫の転勤に伴い離職するという女性はたくさんいます。 仕事より家庭。キャリアより子ども。こうい…

キャリアへの迷いのなさ

2年間という長期間の育児休業を取得した際の著者の態度からも、学ぶべきところが大きいです。最初のうちは上司に止められたそうです。親ごころから「キャリアの中断」を心配する上司と何度も面談をして、最後には規定で最も長い2年間の育休を認めさせるくだ…

論より実。何より子どもとの生活が大事

育児休業を取った男性のほとんどが経験する、ママ友との付き合い(の難しさ)を、著者も経験しています。ママと子どもが集まる場所に行っても、なかなか話しかけてもらえない。運よく話しかけてもらっても、その場限りで終わってしまう。私は全く同じ話を、…

東大院卒エンジニアの男性が、主夫になった経緯をまとめたノンフィクション。

著者は大手自動車メーカーに勤務していました。第一子出産後に2年間の育児休業を取得。妻は任期付きの仕事で育休を取れなかったという事情から、自分が育休を取りました。育休中に妻の米国赴任が決まり、1年間は家族3人で米国暮らしを経験。著者のみ帰国して…

本当に自由な男性はキャリア女性の気持ちも分かっている

子育て主夫青春物語「東大卒」より家族が大事作者: 堀込泰三出版社/メーカー: 言視舎発売日: 2012/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 99回この商品を含むブログ (3件) を見る

「かわいい」市場はどのくらい儲かるか

前置きが長くなったけれど、この本「プリンセス願望には危険がいっぱい」は、私みたいに、ピンクすぎる世界に娘を置きたくないけれど、そこには抗いがたい魅力があると感じているような母親に読んでほしい。女の子らしさを押しつける社会の圧力には屈せず、…

息子育児とジェンダー教育

息子が産まれた時から夫婦で同じように育児に関わってきて、年と共に彼が「男の子っぽく」なっていくのを、面白く眺めてきた。息子は最近、ウルトラセブンが大好きで…ではなく、自分のことをウルトラセブンだと信じている。そんな息子のお気に入りの遊びは「…

私には4歳の息子と1歳の娘がいる。

娘についピンクを着せちゃう迷える母たちに勧めたい武器

プリンセス願望には危険がいっぱい作者: ペギーオレンスタイン,日向やよい出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2012/10/26メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 167回この商品を含むブログ (1件) を見る

共働き子育ての実情をお話しました。

主催者も参加者の大半も20代のビジネスマンなので、具体的なタイムスケジュールなどを中心にお話しました。出席者は錚々たる企業にお勤めの方ばかりですが、皆、自分の関心に合わせていろんな勉強会を開いているそうです。大企業に就職しても一生安泰とは考…

友人でジャーナリストの白河桃子さんの妊活講座の中で、ミニ対談をしました。

働く親の日常生活、夫との協力体制などについてお話しました。日比谷図書館は環境が最高でした。

大原社会教育会館の主催でした。

出席者(約20名)が固定されており、仕事と育児の両立をテーマに数回の講演を企画、各回異なる講師の話を聞き、最後に自分なりのワーク/・ライフ・バランス・プランを作るというもの。大学のゼミのような感じです。面白いのは、毎回の講演と出席者の発言の記…

午後6時頃、もうすぐ1歳になる娘が立ち上がった。

WLB

何度か自分で練習した後、目が合ってにっこり笑い「これから、やるわよ」みたいな顔をして、手で床を押してすっと立った。 「すごい、すごいね!」と拍手をして、隣の部屋にいた夫を呼んで家族3人で手を叩くと、嬉しそうに、大黒天みたいに満面の笑みを浮か…

同性カップルについても考察

男性にも育児はできる、ということなら、類書はあまたあるだろう。本書の記述がもう一歩「深い」のは、同性婚カップルの育児について厚くページを割いているためだ。同性カップルにおいて、主に育児を担う側とそうでない側の心理状態の違いなどを描写するこ…

 保守エリートが言葉を失った瞬間

本書の後半部には痛快なエピソードがある。保守層エリートが主張するような“理想の男性片働き家庭”は、同じ保守でも中間層以下には経済的に実現不可能。保守系著名人がホストを務めるラジオ番組に、彼のファンである中間層の父親が電話をかけてくる。この父…

父親にも3歳児神話

研究結果の紹介で特に興味深いのは、イギリスで行われた調査。子どもが3歳になるまでに、父親が育児休業や育児のための勤務時間短縮、柔軟勤務を行わなかった場合、後々子どもの行動に問題が見られることが多いという。いわゆる3歳児神話の父親版といえる調…

ぜひ、この本を読んで欲しい。

著者はカリフォルニアに住む2児の父で、専業主夫。ライターとして本や雑誌記事を書く「仕事」もしているけれど、一家の大黒柱は妻であり、自分の主な仕事は「主夫」として育児をすること、とみなしている。 そして、自分と同じような主夫たちにインタビュー…

パパが育児を「手伝う」と聞いてカチンとくる人に

The Daddy Shift: How Stay-at-Home Dads, Breadwinning Moms, and Shared Parenting Are Transforming the American Family作者: Jeremy A. Smith出版社/メーカー: Beacon Press発売日: 2009/06/01メディア: ハードカバー クリック: 69回この商品を含むブロ…

孫が欲しければ「カネと手を出し、口は出すな」

例えば孫が欲しいなら「静かに、かつ頼りがいある存在であれ」。義理の娘や息子にも信用されるくらい、子育てを経済面と物質面から助ければ、孫をたくさん持てるかも。政府でなく祖父母の自主性に任せて孫を増やすのが正解というわけですす。「孫の面倒を見…

経済学者としては珍しい発想

実は経済学者の通説は「子どもを持つのはコストに見合わないから、少子化は当然」というもの。結婚や人口問題の経済分析で知られるシカゴ大学のゲイリー・ベッカー教授(ノーベル賞とってます)が代表例です。「経済学者のアイドル」であるベッカーに異を唱…

今よりラクに楽しく育児しよう

著者が勧める育児は、現状を大きく変えるものではありません。目指すのは今よりちょっとリラックスした育児。例えば土曜の午前中に無理に出かけるより、子どもはのんびりDVDでも見て、親は親で好きなことをすればいい。この程度のことで子どもの将来は変わら…

親は子どもを変えられない

結論から言えば、親は子どもの学業的成功や経済力や性格や政治的志向や宗教に対する態度などを変えることは(ほとんど)できない。仮に短期的に変えられても、子どもは長期的には遺伝によって規定された姿に戻っていく。だから、別々の家庭で養子として育て…

とても説得力がある育児本ですが、著者は育児の専門家ではなく経済学者です。米ジョージ・メイスン大学のブライアン・カプラン教授で専門分野は公共経済学や公共選択論。

趣旨はタイトルの通りで明快。今、望んでいるより多くの子どもを持つことを勧めています。なぜならそれはコストに見合う、利己的な行為だから。様々な研究データで説得してくれます。 子どもが畑仕事をしてくれたり、年老いた親を養ってくれるわけでもないご…