著者はカリフォルニアに住む2児の父で、専業主夫。ライターとして本や雑誌記事を書く「仕事」もしているけれど、一家の大黒柱は妻であり、自分の主な仕事は「主夫」として育児をすること、とみなしている。
そして、自分と同じような主夫たちにインタビューを重ね、彼らと子どもとの愛着関係の形成過程や、大黒柱である妻との関係を詳細に描き出す。
単なるルポではなく、父親=男性の家庭内の役割について、歴史的な視点や生物学、心理学の研究動向を踏まえて考察するところが面白い。たとえば、アフリカ系アメリカ人の父親が、白人の父親より子どもとの結びつきが強い理由を、奴隷制度にまで遡って検討する。奴隷解放後も残る人種差別ゆえに、黒人男性は片働きでは家族を養うのが難しかったこと、それが、黒人女性の労働参加を促したという話。