父親にも3歳児神話


研究結果の紹介で特に興味深いのは、イギリスで行われた調査。子どもが3歳になるまでに、父親が育児休業や育児のための勤務時間短縮、柔軟勤務を行わなかった場合、後々子どもの行動に問題が見られることが多いという。いわゆる3歳児神話の父親版といえる調査結果である。このように、様々な研究データを提示しながら、著者は父親の育児参加が子どもの成長発達に【マイナスの影響を与えない】ことを指摘していく。


父親の育児参加が「プラスである」というならともかく、「マイナスではない」証拠を山ほど提示するのは、保守派に対抗するためだ。性別役割分担を「自然なもの」として、父親の育児参加を忌避する言説は、いずこも同じ。アメリカではそれが宗教右翼と結びついている。随所で引用される保守派の主張を読むと「ああ、こういう発想は日本だけではないのだ」と思う。発想が驚くほど似ている。