“安定して食える”までのハードル:日本との共通点も


米国のアカデミアでは、大きく3つのハードルがあります。1)大学院生時代(PhDを取るまで)、2)安定につながる職を得るまで、3)終身雇用になるまで。


男性の場合、3)に到達しある程度、仕事が落ち着いてから子どもを持つという選択肢がありますが、女性の場合「待ちすぎる」と不妊リスクが高くなるため「どのタイミングで産むか」は大きな問題です。


1)の時点で産むのが、肉体的にはベストですが、赤ちゃんの世話をしながら博士号を取るのは大変です。収入が少ない大学院生には育児サービスの利用コストが重くなります。米国のまともな保育園をフルタイムで利用すると、大卒初任給以上のお金が吹っ飛ぶためです。本書で多くの人が記しているのは「子どもが寝ている間に論文を読んだり書いたりしようと思っていたが、いざ、生まれてみたらそんな時間はないことに気づいた」。


同じ体験をした人は、日本のビジネスパーソンにもたくさんいるでしょう。


2)もまた、大きなハードルとなります。特に夫婦共にアカデミアで仕事を探している場合、遠距離結婚になったり、片方しか良い仕事が見つからなかったりして、キャリアと家族で同居することの両立という問題に直面します。


これまた、日本で全国転勤がある企業に勤めるカップルが直面するのと同じ問題ですね。


3)に関する問題は、本書の「あんこ」なので後に詳述します。