金曜に同僚のジーンに日本の働く女性について話したら「これ、きっと面白いはず」と言ってDVDを貸してくれた。


1973年にミシガン大学の女性委員会が製作した10数分の教育用ビデオ。"Turnabout"というタイトルで、性別役割を逆転させた寸劇が数本入っている。


例えばオフィスでは大きな机の前に座った黒人女性が仕事を進め、白人男性が彼女にコーヒーを淹れてあげるる。白衣の女性が大勢働く理系の研究所とおぼしき部屋には、男性がたった1人。役員会も女性ばかり。


就職面接(写真)のシーンでは面接官である若い女性が中高年の男性に質問をしている。まず最初に就職を希望する本人でなく、妻の学歴と職歴について尋ねてみせる。極めつけは「奥さんはあなたが働いてもいいと言っていますか?」という質問。日本では今も既婚女性に対してこういうことを聞く人がいるし「夫が許してくれないので」外に働きに出られない、という主婦の話を確かに聞いたことがある。男女を逆にしてみるとこういう質問は滑稽だと感覚的に分かる。


別の面接シーンではこれまた女性面接官が若い男性にこんなことを言う。「あなたみたいに魅力的な男性が結婚していないなんて、不思議ですね。どうしてですか」「うちのオフィスには、あなたのような魅力的な男性は今は働いていません」。あまりにあからさまで、差別というより馬鹿馬鹿しくて笑ってしまった。


これが笑い話ですまないのが日本の現実である。実際、私の友人(女性)は某商社の就職面接でこれとほぼ同じことを男性の面接官から言われたそうだ。この会社はいわゆる女性活用に熱心で、トップもインタビューで「ダイバーシティが云々」としょっちゅう話しているのだけれど、現場の様子は耳に入らないのかなと思う。


本や論文を読んでいて、アメリカの1970年代と日本の現在はよく似ているなあと思っていたが、本当にそっくりで何とも面白い。