とにかくよく泣く恋愛模様「古今和歌集」

 四季、恋愛、死別など状況別に和歌が収録されていて読みやすいです。

 832番の後半「今年ばかりは墨染めに咲け」は、親しい人を亡くした時の気持ちを千年以上こえて伝えており、とても好き。795番「世の中の人の心は花染めの移ろいやすき色にぞありける」は、忘れっぽいSNSに集う人たちを想起する。
 驚くのは、古今和歌集序で六歌仙のひとりずつにけちをつけている紀淑望。何なんだろう、この上から目線は。


 それにしても恋愛で男も女も泣く泣く泣く。定型なのだろうけれど、とにかく泣くことが特徴。少し前にオペラを聴く機会があり、恋愛の歌が多いのは同じだけど、スペイン語でもフランス語でもドイツ語でも、劇場型というか、感情の表し方がぜんぜん違っていて面白い。