木曜に先生の運転でアーミッシュ(Amish)の人々が住む地域に行った。

キリスト教の一派である再洗礼派に属する彼らは、もともとドイツに住んでいたが1720〜1730年代に迫害を逃れてアメリカに移り住んだ。私たちが行ったのはランカスター(Lancaster)という街の周辺でここには約2万人のアーミッシュが住んでいる。詳しくはこちらのサイトに。

私が初めてアーミッシュを知ったのは10代の中頃。母親が買ってきた「暮しの手帖」がアーミッシュの生活を紹介していた。電気製品を使わず農業を営み、今も自動車でなく馬車を使う彼らの生活は、当時の私にはずいぶん風変わりに見えた。質素を重んじる一方で、色とりどりの布を縫い合わせて美しい模様のパッチワークを作るのも特徴で、雑誌の記事で見た綺麗なキルトの写真が子供心に印象的だった。

実際、ペンシルバニアに住むアーミッシュは私が読んだアーミッシュより近代化されているらしく、彼らの家を再現した博物館にはガス冷蔵庫やローラースケートまで展示してあった。一方、着るものは皆、無地。ボタンは華美なアクセサリーと見なされるから、なるべく使わない。昔ながらの生活を守る部分と現在に適応する部分の混ざり合いが興味深い。

この辺りの車道は観光客のクルマとアーミッシュの馬車が共存している。ドライブしていると、すぐ横を馬車が普通に通りすぎる。まるでディズニーランドに来たみたいだ。

土産物屋の集まるエリアではカフェテリアで、アーミッシュの女性(推定年齢10代後半)が働いていた。青い無地のワンピースに白いボンネットを被って黒いエプロンをつけているので、メイドカフェを思わせる。こんな汚れた世間に接する場所で働かせていいのかなあと、他人事ながら少し心配。
アーミッシュの伝統的な生活もさることながら、観光客の行動様式も面白かった。異文化を求めて観光に来たものの、やっぱり便利や快適さは捨てがたい---。観光地が客の欲求に答えた結果がこれ(写真)。お菓子とおぼしきキャラクターの着ぐるみと戯れる子供たち。そしてその写真を撮る親たち。すぐそばには自称「手作り」のアイスクリームショップに人々が列を作る。
土産物の多くはインド製か大量生産品だし、何だかバブル期に第三セクター方式で作られた地方のテーマパークにそっくりで笑ってしまった。伝統だの文化だのより、品質を下げたディズニーランド的なものの方が手っ取り早く楽しめると思う人の多いこと。
日本の国内を旅行していてどうでもいい土産物屋の集積を見つけると「何でこんなものを作るんだろう、景観を損ねるだけなのに」と苛立つ。これは日本の悪い特徴かと思っていたけれど、アメリカでも同じことが起きているようだ。安易な方に流れていく人々の習性は、何万マイル離れていても変わらない。アメリカと日本がこんなところで似ているとは、何ともおかしい。