ボランティア活動が活発なのはアメリカの良い点のひとつだ。

自宅からクルマで15分のところにある"Humane Society of Huron Valley"という動物保護施設で、犬の散歩ボランティアを始めた。捨てられたり飼い主とはぐれたり、虐待された動物たちを、新しい飼い主が見つかるまで一時的に預かるために作られた施設。動物病院も併設されている。 主に犬・猫を保護しており、犬用48、猫用56の個別に仕切られたスペースがある。2004年には9694匹の動物を保護したそうだ。内訳は犬3582匹、猫4877匹、ウサギ491匹、その他の野生動物744匹。


施設は25人のスタッフによって運営されているが、ボランティアが人手不足を補う。私が始めたのは犬の散歩で、要求されるのは18歳以上であることと、週2時間以上・半年間以上継続すること。力の強い犬も多いので体力に自信があることも必要だ。「かつて、犬に引きずられてけがをしたボランティアの人がいます。決して無理はしないで下さい」と事前説明会では何度も念を押された。


散歩の他にも色々なボランティアがある。例えば「猫なで」ボランティア。猫は散歩させなくていいけれど、可愛がられて触られることでストレスが減るという。これら動物に直接触れる仕事は18歳以上限定。ただし、子供でも両親と一緒なら動物の居住スペースを掃除したり、「カメラマン」として働くことができる。施設内の動物を写真撮影するのだ。なるべく可愛く撮ってあげて名前や年齢を書いた紙と一緒に各動物の住むスペースのドアにかけておき、引き取り手にPRする。


私は今日、2匹の犬を散歩させた。1匹は黒いラブラドール風のBear(写真)、もう1匹は白地で耳のあたりが茶色い小型犬。どちらもかなり強く引っ張るので高齢者や子供には難しいと思った。たくさんの犬の中でも気になったのは、つい2日前に捨てられた成犬(推定4歳)。人間を見ると悲しげに吠える。もう大人の犬だったので、ここまで育てて何で捨てるのか飼い主の気が知れないと思った。


予想はしていたけれど、こういう可哀相な光景を見ると少し憂鬱になる。救いと言えそうなのは、ボランティアも動物の引き取り希望者もかなり大勢いたこと。先週の説明会には30人近く来ていたし、今日も平日の午前中なのに10人以上が参加していた。説明者もまた4年前から働き始めたボランティアで「当時は犬の散歩というメニューはなかった」という。参加者もサービスの種類も増えている。


動物を捨てる人間を批判するだけでは実態は何も変わらない。同じ時間を使うなら少しでも状況の改善に役立つ行動をとる方がいいわけで、東京に戻ってもなるべくならそういう発想で暮らしたいものだと思う。