ニクソンとフォード大統領の下で英国、エルサルバドル、国連の大使や、ホワイトハウスの儀典長を務めてきた。儀典長は、国賓が米国を訪れたときに大統領晩餐会を仕切る。話はこうした"偉い人"たちに関する裏話が中心だ。
エジプト大統領を招いているのに間違えて「イスラエルの皆さんのために」と言ってしまったとか、昭和天皇が戦後初めて米国に来た際、ディズニーランドに行きたがった・・・といった話が続いた。まだ戦争の記憶が残る時代だから、ハワイに立ち寄る際は真珠湾の近くを通らないように細心の注意を払ったという。
おかしかったのは、晩餐会に招いたメキシコ人女性歌手に関するエピソード。大統領が彼女とダンスをしたがったが、歌手は気が進まず話をそらそうとした。「メキシコの食べ物で何が一番好きですか?」と大統領に尋ねると「君だよ」との返事。ベタさ加減は"産む機械"どころではない。今、それなりの地位に就いている米国男性は絶対こんなことを言わない。この種のことを言うと、サマーズ・ハーバード元学長のように滅茶苦茶に叩かれる。
こんな不規則発言が可能だったのは、まあ、古き良き時代と言えるかもしれない。