先日の原×ムーア対談を思い出していて気づいたことがある。


アメリカ人はOpen-ended Questionに慣れている。ムーア監督が聞かれていないことまでサービスして喋ったのもそのせいだろう。


これは著名人に限った話ではない。アメリカの社会学者が行ったカップルへのインタビューに基づく本を10数冊読んで同じことを感じた。本には使用質問リストが掲載されていて、やはりOpen-ended Questionsが多かった。例えば「仕事について感じていることを話してください」といった一般的かつイエス・ノーで答えられない問が並んでいる。


最初私は「こんな質問で面白い答えが返ってくるわけない」と思った。初対面の他人に自分のことをあれこれ尋ねられたら誰だって緊張する。日本で同じようなインタビューをするとしたら、相手の職業を尋ね、まずは世間話をするだろう。緊張がほぐれたところで「最近、お忙しいですか」みたいな感じで何となく質問を始める。いかに自然に話を引き出すか工夫するのがインタビュアーの仕事だと思っていたのだが・・・。


実際にインタビューを始めてみると、アメリカ人は実によく喋る。いわゆるメディア向け取材とは異なり、調査目的だから執筆時は匿名が条件だ。同意書にもサインしてある。そのためか「父親としての役割についてどう思いますか」みたいな漠然とした質問にも、理路整然と答えてくれる。英語は決して上手くないが、当初予想していたよりずっと楽に話を聞くことができたのはアメリカ人の喋り慣れに負うところが大きいと思う。


逆にアメリカ人が日本人に話を聞く方が大変だろう。以前、友人のアメリカ人女性が東京の建設会社で働く男性にインタビューをしていたが「なかなか話をしてくれない」と困っていた。質問を教えてもらったらやはりOpen-ended Questionだった。


私がこちらでよく聞かれたのが「どのくらい滞在するのか」「何をしているのか」「アメリカやアメリカ人についてどう思うか」「将来は何をしたいか」。最後の2つは日本語で聞かれたら一瞬戸惑ってしまうが、あまりに繰り返し聞かれるので答えを用意することにした。

写真は最近のキャンパスの様子。緑が濃くなってきて、とても綺麗です。