9日は朝からFlorida without Bordersという会議に出席した。


フロリダ州内の大学でジェンダー研究に携わる人、NGO職員など約100人が集まった。8日に南フロリダ大学で講演をした、台湾とタジキスタンの教授、それに私も出席して参加者と交流したり、10日のセミナーで話をすることになっている。


発表者の3分の1が大学に所属する研究者、3分の1が学生、3分の1がNGO職員や私のような非アカデミアの人たち。現場に即した話が多くて面白かった。


今日は農場労働者の組合責任者(まだ20代)、人身売買の被害者保護の活動をしている人の話を特に興味深く聞いた。他にインド女性の労働環境、女性学とアフリカでの調査、メキシコの原住民初の国会議員になった女性に関する報告など、「女性」に関する様々な話題が出ていた。


少人数でアットホームな雰囲気だったためか、とても居心地の良い集まりだった。こちらへ来てから、人間として好きになれないタイプのフェミニストを何度か見かけて「女ネタ」で調査をするのが嫌になりかけたこともあったが、今日集まった人たちを見てちょっと考えが変わった。


楽しめたもう1つの理由は、フルブライトで米国滞在中の他の2人の教授たちの視点が私の感覚にぴったりきたせいもある。アメリカのフェミニストの中には人種や国籍の問題に鈍感な人がしばしば見受けられる。今日の発表の中でアジア女性が被害者になるケースが登場した。描き方がいささかステレオタイプで「人権意識が遅れた国の女性を、民主国家アメリカが助ける」というメッセージが暗黙に読み取れた。


こういう被害者をなくそう、という趣旨自体は賛成だけれど、アジアを見下す意識が透けて見えるなあと感じていた折、台湾の教授が丁寧に、でも的を射た質問をした。こういう場での質問は言い方を間違えると発表者に対して非常に失礼なことになる。その辺りもきちんと配慮した質問で感心し、アメリカのトップ校で博士号を取った人にあらためて尊敬の念を覚えた。もちろん、人柄が大きいのだろうけれど。


セッションの合間に、台湾とタジキスタンの教授と「あれはステレオタイプな見方で、賛成できない」といったことを話して、細かいところまで意見交換が出来た。


会議終了後は彼女たちとルーカス教授、教授の教え子と一緒にダウンタウンスペイン料理レストランへ。お酒も入って楽しく話していた。気持ちが通じてくるにつれて、この人たちに日本語が通じるんじゃないかと不思議な感覚になってきた。