昨夜は外国人学生対象の「米国における納税」ワークショップ(写真)に出た。


ややこしいと聞いてはいたが、これは本当に面倒そうだ。私が申告すべきはフルブライトからの奨学金奨学金は米国務省の拠出で税控除の対象となる。控除される(税金を払わなくていい)場合でも申告しなくてはいけないのが面倒だ。


課税の範囲も米国滞在期間に応じて2つに分かれるとか、ビザのステイタスと納税者としてのステイタスは関係ないとか、申告漏れは10000ドル(約120万円)の罰金に相当するとか、面倒な上に恐ろしげな話が次々に出てくる。


私は4月15日までに書類を提出しなくてはならないようだ。


なるほど、こうして自分で申告して税金を払うことで、納税者意識というのが形成されるのだと納得した。東京で働いていた時は全て会社任せ。今は休職中だが、その間の保険料の立て替え、それに伴う役所とのやり取りは人事部の方がやって下さっている。信頼できるサービスのないところへ来てみて初めて、これまで自分がいかに甘やかされていたのかを知った。


ワークショップを聞きながら数年前「会社員も個人事業主になって自分で税を申告しよう」というテーマで野口悠紀雄教授にインタビューしたのを思い出した。源泉徴収がいかにしてサラリーマンを"羊化"したか、という趣旨。なるほど、とうなずきながら、当時は会社員生活にどっぷり漬かっていたので遠い話に思えていた。


また、これまでインタビューした夫婦の中に「育児支援は政府の仕事ではない」と言っていた人々がいたことも思い出す。所得の申告でこんなに面倒な思いをしたら、いくら払ったか絶対覚えているだろう。少しでも不要な支出は許せないに違いない。一方で私は社会保険庁の不正が明るみに出た頃、給与明細の「厚生年金」の項目をあえて見ないようにしていた。自動的に取られてしまって断る術がないから、見ると腹が立ったからだ。こういうところからも個人と政府の関係が違うことが分かる。