ミシガン大学のインターナショナルセンター主催で、アラブ系アメリカ人のコミュニティーを見るツアーに参加。


バスで約1時間のディアボーン(Dearborn)という街へ行った。米全土には350万人のアラブ系アメリカ人がいる。カリフォルニア、ニューヨーク、ミシガン、フロリダ、ニュージャージー州に住む人が多い。特にミシガン州ディアボーンは人口の30%がアラブ系で集中度が高いそうだ。


まずはアラブ系アメリカ人博物館(Arab Ameridan National Museum)を見学。アラブ系アメリカ人の祖国や移民の歴史に関する展示を見た。ここで言う「アラブ系」とは、北アフリカアラビア半島諸国のアラビア語を話し、共通の文化を有する国々を指す。イランやトルコは言葉が違うので「アラブ系」ではないそうだ。「イスラム教徒」や「中東諸国」との違いを解説される。


アラブ系の人々への偏見をなくすための展示もあった。片側では映画やテレビドラマに登場するステレオタイプなアラブ人(被り物をして武器を持ったマッチョな男性の敵役)と、ニュース報道に登場するアラブ人の写真(これまた敵イメージばかり)の類似を見せる。すぐ隣にはアラブ系アメリカ人の素顔写真がコラージュしてある。性別・年齢・肌の色・服装・表情も様々な人々がいることが分かりアラブ系への固定概念が変わる。


博物館の後は地元のモスク(写真)を見学。巨大な建物の年間維持費用1,200万ドル(約1億4400万円)。私たちが行くと、ちょうど子供向けのお祈りレッスン中で広い部屋に約100人が集まっていた。モスクの隣には定員約300人のイスラム教徒向け学校があるそうで、入学希望待ちが多いので拡張予定だという。


元校長先生がイスラム教について基本的な解説をしてくれた。このモスクはシーア派スンニ派かと尋ねてみたら、シーア派だという。室内の壁掛けや窓に書かれた文言から分かるそうだ。「スンニ派イスラム教徒もここに来るし、自分はシーア派だがスンニ派のモスクにも行く」という。


予備知識ゼロに近い外国人の私に向けた説明だから、単純化しているのだろうけれど、なるほどそういうものかと意外に思った。イラクに関する最近の報道を聞いていると、シーア派スンニ派は憎みあって敵対しているように思っていたが、少なくともここではそういうことはないようだ。