週末にインタビューした50代のご夫婦の話は面白かった。


ずっと共働きで2人の子供の育児も家事も半々で分担してきた。だんなさんはとても優しくて穏やかな感じで、奥さんははっきりものを言う明るいタイプ。


奥さんは1970年代半ばに管理職に昇進した。「当時はアメリカでも女性管理職は珍しかったのでは」と尋ねると「すごく大変だったわ!」と本音トークが始まった。社内には6人の管理職がいたが女性は自分だけ。「女性管理職には尊敬の念を持たない人が多い」と感じたそうだ。男性からはあからさまに、女性からは陰で足を引っ張られたという。


始めのうちは自分に能力がないのかと思ったが「女だからこういう目に遭うんだ」と気づいてから少し気が楽になったという。「辞めたいと思ったことは何百回もあるというが、夫の収入だけで生活するのは難しかったし、辞めたら自分が負けることになるから、辞めずに踏みとどまった」そうだ。


大変な時期にはセラピーと教会と女友達が助けになった。アポを取って週1回、セラピストに会いに行き、客観的な立場からアドバイスをもらう。教会では神父に話を聞いてもらったり、熱心に祈ることで心が落ち着いたそうだ。私も友達に愚痴を聞いてもらうことはよくあるが、セラピーと教会は想像の範囲外で文化の違いを実感した。


ところでアメリカ女性は産休がやたら短い(6週間とか2カ月とか)上に、政府をあてにせず、私的な育児サービスを使う人も多い。彼女たちの話を聞いていると「根性あるなあ」と感心する。彼女たちの経済的地位が高いのは、必要なものは自分から取りに行く強さあってこそだろう。