1カ月健診のため、子連れで初外出。


これまでも子どもを抱いてマンションの外廊下を数分歩いてみたり、自宅から50mほど離れた郵便ポストまで行ったことはあるが、本格的なのはこれが初めて。帰りのタクシーの中で少しぐずった以外、ギャン泣きすることもなく機嫌よく起きていてくれて安心。病院の中では興味深そうに自分より大きな赤ちゃんを眺めていた。


小児科は感じのいい女医さん。1日に与えているミルクと母乳の量を尋ねられ、持参した育児日記をもとに回答。先週から母乳の出がよくなってきたのでミルクはほとんどあげていない。それを聞いた女医さんは、出生時から現在までの1日の体重増に加え、母乳の出がよくなってきた頃から今までの1日の体重増を母子手帳に書き込んでいた。


私の子どもの1日の体重増は、こうなっている。

(1)出生時から現在まで<(2)母乳の出がよくなった日から現在まで

どうやら、「赤ちゃんの成長に問題なし」と示すため、わざわざ(2)を計算して見せてくれたらしい。


なぜそんなことをしたのか。出産前に受けた母親学級で、小児科医から「新生児はいったん体重が減り、その後は増えていく」と聞かされていた。トータルで見れば出生時からきちんと体重も身長も増えているし、母乳もよく飲んでいる。私も夫も何も心配していなかったのだが・・・。


後で気づいたが、女医の配慮は姑対策だろう。「体重が増えてない」だの「母乳の出が悪いのでは」だのと、嫁がいびられることがないよう、「体重増の度合いは問題ない」旨を特記事項として示してくれたのだ。医師の筆跡で母子手帳に書いてあれば、1カ月健診の結果を尋ねられたとき、嫁は堂々と答えられる・・・。


実はバースプランを考える時、同じ病院の産科の医師(やはり女医)も同じ様な配慮をしてくれた。もともと、患者の好みを最大限尊重してくれる病院だが、産科医のあるアドバイスは明確に親族を意識したものだった。「周囲から色々言われてあなたが大変な思いをしないように、××という選択肢もありますよ」と。


ようするに、世の多くの女性たちは、親族にすごくうるさく言われながら出産・育児をしているのだ。女医のアドバイスは、こういう女性たちの状況に配慮した、顧客満足につながるサービスだといえる。


しかし、そもそも当事者以外がうるさく言ってくることがおかしいのだ。女医たちの素晴らしい配慮の裏に日本の家族の古い縛りが垣間見えた。「お医者さんがここまで考えてくれるなんて、ありがたい」。という思いに加え、出産当事者でもないくせに不要な圧力をかける親族というものが存在することに、怒りをおぼえた。