半分のスペースで仕事をしてごらんよ


もし、国の最低基準が撤廃されたら、私たちが「いやだ」と思ったような保育園が増えることだろう。その結果、何が起こるか。


待機児童は減るかもしれない。しかし、ふたつの犠牲を払うことになる。ひとつめは女性労働力だ。私と同じように「こんなところに入れるのは可哀そう」と仕事を諦める人が出てくるはずだ。ふたつめは子どもである。「ここは嫌だ」と言葉に出して言えない子どもたちが犠牲になる。


待機児童が多いのが問題なら、根本的な解決策は、質の高い保育所を必要な分つくることだ。専業主婦家庭との公平性が問題になるなら、平日、主婦が子連れで集まれる場も作るのがよい。それができないのは、財政難だからであり、財政難になったのは、これまで、バカなことにカネを使いすぎたからだ。その選択をしたのは、一定以上の年齢の人々ではないか。


本件に関わっている官僚や政治家に言いたい。あなたのオフィススペースを半分にして、質量ともに同じ仕事をしてごらん。部下を、秘書を減らしたら、仕事にどんな影響があるか試してみたらいい。官舎に住んでいるなら、その広さも削ってみたらわかるだろう。保育園の施設が小さくなり、担当の保育士数が減るというのは、ものを言えない子どもから見たらそういうことだ。