一橋大の広報誌「HQ」2012年春号が届きました。


いつも最初に開くのが「一橋の女性たち」という連載。商学部山下裕子先生が一橋卒の女性と対談します。今回は政策研究大学院の大田弘子先生。内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)も務めた、OGの中でも特に際立ったキャリアをお持ちの方で、私もちょっとだけお話を聞いたことがあり、素敵な人だなあと思っていました。


記事の中で、特に印象に残ったこと。
1)鹿児島県出身女性で初めて一橋に進学した
(親は大学進学にも上京にも反対)
2)1976年に卒業した当時、女子の就職はなかった
「私はマスコミ志望でしたが、新聞も出版も女子の採用は全くなし」
3)お父様のご病気で実家に帰った後、先輩の誘いで研究員として再就職
4)その後、アカデミア→官僚の世界→政界へ…


女が高等教育を受けることも、働くことも難しかった時代に自分の手で道を切り開いてきた方特有の強さと柔軟さと魅力を兼ね備えている…と思いました。


私がいちばんひっかかったのは、2)であることは言うまでもありません。だって新聞系出版社勤務の私は同じ欄の前々号に載せていただいたのですから。ちょうど20年後には、新聞社も出版社も、女子に門戸を開いていたのです。同じような話を、東大卒の女性弁護士から聞いたことがあります。「女子は採用がなかった。だから司法試験か公務員試験しかなかった」と。


当時、どんなに優秀でも女だから、と採用しなかった企業たちにバカヤローと言いたい。何度でも言いたい。同時に、こういう先輩方の努力のうえに、自分たちが乗っかっていることを忘れてはいけないと思う。私程度の能力と根性でも働きながら子ども2人もてるようになったのは、こういう先達がいたからだ、と。それは決して自分の努力だけでつかんだものではない、と。