判例時報9月11・21日号で山浦善樹・元
最高裁判事を囲む座談会が掲載されました。弁護士、ジャーナリスト、新聞記者の方々と一緒に話し合いました。
山浦さんは、2015年12月16日、
最高裁大法廷が夫婦同姓の強制を合憲とする判決を出した際、強い反対意見を出しており、国の損害賠償まで認めています。判決文は以下からお読みになれます。
70代男性裁判官が、なぜ、最もラディカルな意見を述べているのか、その背景を知るのに、最適なのが山浦さんのインタビューを収録した自伝「お気の毒な弁護士」です。
この本は、長野県の村で育った極貧の子ども時代、先生など周囲の支援、
奨学金などを得て高校、大学に進んだ経緯、銀行に就職したものの、辞めて司法試験に挑戦して1回で合格した下りを綴っています。加えて、
民法の専門家として、町の人々の困りごとを解決すべく、庶民に寄り添い、時に革新的な手法を駆使し、時に探偵ばりの調査能力を発揮する様子も書かれています。
その根底には、おかしいことはおかしい、というシンプルなことを認識する人間味と「ない」「できない」と言わずに徹底的に調べるプロフェッショナルとしての厳しさがあります。法律家以外が読んでも大変面白い本です。