「An Inconvenient Truth(不都合な真実)」

昨日の夜は前副大統領のゴアが出演する映画「An Inconvenient Truth」を見た。先日、ワシントンで会った方が「これは見るべき」と薦めて下さったのがきっかけ。地球温暖化がどれほど危機的なのか、ゴアが世界各地で講演して回る様子を撮影したドキュメンタリーだ。「ゴアの環境問題への関心は、大統領選挙向けのパフォーマンスじゃなかったの?」と思われていそうだが(私も現にそう考えていたが)、実際に映画を見てみるとパフォーマンスではすまないことが分かる。


二酸化炭素の濃度が数十万年単位で見ても異常に高いことが折れ線グラフで示される。二酸化炭素の濃度と気温の変化は連動しており、あと50年もすれば地球が異常に熱くなることが推測できる。急に気温が上がると海流と気流に異常が起こり、ある日突然、今度は極端な寒さがやってくる---。


正直言って私は環境問題には関心が薄い方だ。「もったいない」という観点からゴミの分別はするし、モノを無駄にしないようにコピー用紙の裏側を使ったりはするけれど、こういう身の回りの小さなことと大規模な気象変動が結びつくというのがどうにもピンとこなかったのだ。

ゴアのプレゼンテーションは非常に分かりやすく、私のような消極的無関心派にも「やばさ」が十分に伝わってきた。


映画を見た後にポジティブな感覚が残ったのも、好印象だ。
先進国ではアメリカとオーストラリアのみが京都議定書に批准していないこと、ブッシュ政権の中枢部でエネルギー関連の担当をしていた人が石油会社に「天下り」したことなど、気が重くなる事実を紹介した後で、ゴアは「我々アメリカ人はこの問題に対処できる」と締めくくったのだ。独立戦争をたたかって民主主義を自分たちの手で勝ち取った歴史を例に出して「アメリカ人は革新を起こしてきた」と聴衆を励ます。社会問題指摘系の映画は、とかく暗くなりがちだけに、この結び方は良いなあと思った。


エンドロールでは1人1人が出来ることが短文で紹介されていた。
ハイブリッドカーを買う。電力会社に環境負荷の少ない発電をしているか尋ねる、もししていないならなぜか問う。地元選出の議員に電話をして関心を喚起する。環境問題に対応する気のある政治家に投票する。もしいなければ、自分が立候補する。


映画の途中ではトヨタとホンダが環境対応をいかにしているか、フォードとGMがいかに出来ていないかをはっきりと示す棒グラフも登場する。こんなこと言っちゃっていいんだ、と少し驚いた。