心なしか、CNNのキャスターは元気そうに、FOXニュースのキャスターはちょっと深刻な感じで選挙結果を伝えたように見えた。結果はすでに報じられている通り、民主党の勝ち。下院で過半数を取り上院でも議席を増やした。先日、サダム・フセインに死刑判決が言い渡されたのは明らかに中間選挙を意識したタイミングだった。でもそういう情報操作に乗せられないくらい、アメリカ人は現状にうんざりしているようだ。
私が気になっていたのはミシガン州での投票結果。知事選は現職のグランホルム氏が213万票を獲得し、対立候補のデボス氏(160万票)を破った。候補者のプロフィールをあらためて見てみると、グランホルム氏はカナダ出身の弁護士。デボス氏が携わっていたビジネスはアムウェイで、宗教は保守派キリスト教。2004年の大統領選挙では共和党を支持した州北部の「アッパーペニンシュラ」と呼ばれる地域も、今回の知事選は民主党のグランホルム氏を支持している。
もうひとつ、気になっていたMCRI(Michigan Civil Rights Initiative)は58%の支持を得て採択された。ミシガン州では人種や性別に基づく入試優遇策や奨学金給付ができなくなる。これはミシガン大学にとって非常にショッキングな結果で、早速、今日の昼間に学長が演説をしていた(写真)。趣旨は「今後も法律の許す限り、ダイバーシティの推進をする」というもの。
私は残念ながら旅行中で聞きに行けなかったが、大学のウェブサイトのトップページで公開されていた演説原稿とビデオ映像を見ることができた。何かことが起きたら組織のトップがすぐに対外的にメッセージを発するところはアメリカらしい。
ところで、ダイバーシティへの取り組みに関しては企業の方が冷静な対応をしているようだ。GMなど州内の大企業はMCRIに反対していた。以前、ある化学メーカーはミシガン州内の某大学の学生構成にダイバーシティが足りない(=白人男性ばかりである)として、採用リクルーターの派遣を取りやめた。グローバル企業は、従業員の多様性が競争力につながると確信しているためだ。アメリカ企業社会の冷静な判断が文化的保守主義に勝ってほしいと思う。