7日にこれが採択されたことで、州政府予算を特定の属性の人々に使うことができなくなる。ミシガン大学は州立で、CEWの予算の大部分は大学からきている。そのためCEWの事業の中でも明確に「女性向け」を謳った奨学金制度などは存続の危機にさらされる。
少し前までホリデー・パーティー(「クリスマス・パーティー」のことを非キリスト教徒に配慮してこのように呼ぶ)について話していた時とは一転して皆、沈んだ表情に。MCRIに反対するため、昨年から調査報告書を書き、出張講演を続けていたスーザンは疲れと失望からか今日は休みだった。ディレクターのキャロルが「皆、よく頑張った」とねぎらいの言葉をかけると、会議室の雰囲気はさらに重くなった。
すると、ジェシカという大学院生が「公民権運動だってうまく行く時と悪い時があったでしょう。元気を出して。こういう時だからこそ、誇りを持って、顔をしっかり上げて歩かなきゃ」。出席者の中で一番若い彼女に励まされ、会議室にいた大人は次々にクリネックスを取って目元に当てていた。
次に、資金集め担当のベスが半分泣きながら皆を驚かせる報告をした。"10million dollars(約12億円)"もの寄付申し出があったというのだ。これはCEWの年間予算の7倍。寄付の主はミシガン大学の他の機関から受けた小口(といっても数千万円単位だが)の寄付要請を全て断って、CEWにまとめて巨額の寄付をしてくれるそうだ。MCRIの採択で沈んでいた空気がいっぺんに明るくなった。その後、昨日の昼間に行われた学長講演をビデオ録画したものを皆で見て会議はおひらきになった。
あきらめず前向きに進んでいけば道は開ける--。こちらのリベラルな人が共通して持っているのが "We can do it!" スピリットだと思う。そんなアメリカ民主主義のコアを目の当たりにしたような1時間だった。