CEWの運営は4つの資金源でまかなわれている。


1つめは大学や州政府、2つめは連邦政府、3つめは寄付、そして4つめは基本財産の運用益。財源が複数あるので不測の事態が起きても活動に支障はない。


今年は1つめの資金源が苦しいようだ。最近、ミシガン州の景気が悪いため予算が減らされたのだ。また、昨年11月に州憲法が改正され、特定属性の人を対象にしたプログラムに州予算を使うことができなくなった。これは入学試験の際、アフリカ系を優遇するアファーマティブアクション(積極的是正措置)の廃止を狙って、保守派が仕掛けたものである。以来、州予算を使って「女性のみ」対象の奨学金を提供するのも難しくなった。


たとえ州予算は減っても株式市場が好調なら、基本財産の運用も好調となる。また、州予算で奨学金を出せないなら、連邦予算を充てたり個人寄付に頼れば良い。


寄付といえば、最近1000万ドル(約12億円)もの寄付があった。ミシガン州西部のグランド・ラピッズという街にあるノコミス財団と設立者のトゥインク・フレイさん(写真)からのもの。43年続くセンターの歴史で最多額である。財団は女性の地位向上に資するプロジェクトや団体に寄付を行っており、これまでもCEWを財政支援し続けてきた。今年冬にはシカゴから"客員活動家"が訪れ講演などをした。プログラムに必要な奨学金を出したのもフレイさんである。


アメリカで格差社会を間近に見ると「もっと平等な方がいいのでは」と思うことも多い。でも、現実に何かするにはお金が必要なのも事実。自分で動いたり戦ったりするのも大事だが、フレイさんのように巨額の資金をぽんと出す人もまた、大きな助けになる。普段、私は「楽しく働いてそこそこ稼げればいいや」と考えているが、こういうお金の使い方ができたら気持ちいいだろうなーと思った。