白人差別? 米中間選挙のもうひとつの争点

ミシガン州民にとってもうひとつの争点は、MCRI(Michigan Civil Rights Initiative)という法案。

直訳すれば「ミシガン公民権法案」となり、何だか進歩的なイメージですが中身は正反対。州政府や教育機関がマイノリティ優遇措置をとるのを禁じます。この法案が通ると、ミシガン大学が入試の際にとっているアフリカ系アメリカ人への優遇措置(アファーマティブアクション)や女性向けの奨学金など、人種や性に基づいた施策は出来なくなります。

数年前に同種の法案が通ったカリフォルニア州では、州立大学におけるマイノリティの教職員採用が激減しました。これはダイバーシティを重んじる人々にとり、大きな損失です。私が所属するCEWでは法案に関するリポートを発行したり、キャンパス内でセミナーを開いたり州内で出張講演を行ってきました。

MCRIの法案提出に関わっているのは、ワード・コナリー氏。カリフォルニアでの法案成立にあたり中心的な役割を果たしました。活動資金は複雑な経路をたどって、保守系スカイフ財団などが援助しています。ちなみにこの財団はクリントン政権時代、大統領のスキャンダルを暴いて信用を失墜させるよう、保守系メディアに資金援助していたことがこの本に記されています。

コナリー氏に協力してMCRIのPRをしているのがジェニファー・グラッツ氏。彼女は自分より入試成績が劣るアフリカ系の学生がミシガン大学ロースクールに合格し、自分が不合格になったとして大学を訴えていました。論拠は「アファーマティブアクションは白人に対する逆差別だ」というものです。

Ann Arbor に住んでいると、彼らのような保守派の主張を聞く機会は少ないですが、さすがアメリカ、テレビCMやFoxニュースの映像がYouTubeにアップされていました