マイケル・ムーア監督「華氏119」観てきました

 小学4年生の息子と一緒に。

 

トランプ批判の映画で今月初めの米中間選挙前にあえて公開した…という前評判だけ知っていたのですが、予想外のファクトが次々出てきてビックリ。

 

gaga.ne.jp

 

そもそも政治・行政経験のないトランプが、なぜ大統領選に出馬したのか? きっかけは冗談のような、まさにフェイクニュース。彼の性癖や人種差別発言は、何度見てもいやな気分になりますが、まあ、想定の範囲内

 

想定外だったのは、これが民主党批判の映画でもあること。そして、その理由を描いたいくつかのエピソードです。こういう事実が積み重なって、中間層や貧困層民主党を見限り、選挙に行かなかったんだ…ということが説得的に描かれます。

 

いちばん酷い話は、ミシガン州フリントの水汚染。フリントはムーアの出身地でもある、労働者の町です。知事が公共事業に関わる企業を儲けさせるため、不要な水道工事を敢行、新しい水源に鉛で汚染された川を選びます。もともと、綺麗な湖を水源にしていたフリントの水道水は、ひどい色や有害物質の入った水になってしまう。

 

犠牲者は子ども達。さらにひどいのは、体調を心配した親が子どもを検査に連れてくると、州職員がデータ改ざんを指示されて「安全です」の証明書を出していたという事実。

 

これ、日本で半世紀前に起きた公害病を巡る人権無視の対応と同じじゃん、と驚きました。最近だと、アムネスティでキャンペーンハガキを送るアフリカの事例で似たような話を聞きます。

 

この事実自体がひどいし、知事とトランプの仲良しぶりも「やはり、そうきたか」感満載なのですが、もっとひどい話が続きます。ああ、こうなったら「普通の人達」は民主党を支持しないし、選挙にも行かないよね、と。

 

要するに、トランプはひどいけれど、彼を大統領にしちゃった民主党のダメぶりがひどいんだよ、ということを示唆している映画でした。

 

こういう時、希望を持ってはいけない、とムーアは言います。なぜなら、おざなりな希望は変化に必要な怒りや違和感を打ち消してしまうから。

 

希望ではなく、行動が大事というのがこの映画のもう一つのメッセージで、そこでフィーチャーされるのは、リアルな労働者(元軍人やトラック運転手や学校の先生、バス運転手等)たち。とりわけ、女性と子どもに焦点が当たっています。

 

銃乱射事件の起きたフロリダの高校生が呼びかけたデモ行進に数えきれない中高生が集まったシーンは、息子も笑顔で見ていました。