Being Together, Working Apart: Dual-Career Families and the Work-Life Balance作者: Barbara Schneider,Linda J. Waite出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2005/02/24メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る

500家族のデータに基づき、アメリ中流家庭の日常を分析した本。


全米の8都市に住む共働き子持ちの家族を徹底調査。調査対象の人々はポケベルのような機械を持ち歩き「今、どこで、誰と、何をしているか。どんな気持ちか」を報告する。「昨日何をしたか」思い出す形式の調査に比べると、人々の活動が正確に分かる調査方法である。


興味深かったのは夫婦にお互いの家事時間を尋ねてそのギャップを測った分析。夫婦いずれも、自分がやったと考える家事時間の方が、相手の見積もりより多いのだが、特に夫は自分の家事時間を過大報告していることが分かった(第9章)。


生活時間調査に加えて、子供も含めた調査対象家族へのインタビューも行っている。母親の職業が子供の将来観に特に影響を与えていないという分析が、面白かった。子供は職業人としての母親に敬意を払うが、仕事のストレスが家庭生活にも影響するのを見るため「お母さんのようになりたい」とは思わないようだ。


昨日、この本の編者であるバーバラ・シュナイダー教授がミシガン大学で講演をした。個人的に話を聞いてみたかったので、主催者に頼んで時間を作ってもらった。講演終了後に指定された部屋で待っていると、本人が駆け込んできて開口一番、「あなたにお願いしたいことがあるの」。


驚いていると「ランシング(シュナイダー教授が所属するミシガン州立大学がある街の名前)に来られる? 日本の働く環境について話して欲しいんだけど。クルマは持ってる?」。とても光栄なので、もちろん行きますと答えつつ、ランシングに行くには高速に乗らないといけないことを思い出す。免許は今週末に取る予定だけど、まあ何とかなるだろうと考えていると、スケジュールやトピックについて、テキパキと話を進めていった。どうやら事前に私が送った履歴書に目を通してくれていたようだ。


その後、私が用意しておいた質問(政府の育児支援が貧弱なのにアメリカ女性はなぜ子供を産んだ後、仕事を続けられるのか云々・・・)をして30分強の面会を終えた。ワークライフバランスについて政策提言しても政治家が聞く耳を持たない、と彼女が嘆くので「私はビジネス分野の出身なので『ワークライフバランスは利益につながる』と強調するようにしています。数字とケースを出せば、たとえ保守的な人でも同意せざるを得ないですよ」と言うと「それはすごくいい考えだわ!」と叫んで猛然とメモを取り始めた。非常にエネルギッシュで、話の分かる人だった。