若い頃はおばさんになりたくなかったけれど、なってみると色々と良いことがあります。


おばさんの効用その一:ビジネスマンになめられにくくなる
20代の頃、経済週刊誌の記者だったので、自分の親や祖父より年上の男性に話を聞くことが多かった。大半の方は別や年齢に関わらず、きちんと質問に答えてくれたが、中にはあからさまに馬鹿にしたような態度を取る人もいた。ある業界に多かったのだが、あえて書かない。悔しいので、若い女と思われないように色々考えた。


初対面の男性(ほとんど年上)に会う時は、スカートをはかない。黒っぽいパンツスーツばかり買っていた。それから、むやみに笑顔を見せない。十二分に予習をして、関連資料や本など読んだものを持てるだけ持って、机に積み上げて相手を待つ。読んだところには付箋とマーカー。若い女ではありますが、そこら辺の若い女とは違います、というところを見せる必要があった。


この間、20代の私が何だか馬鹿にされたように感じていた、ある業界に取材に行ったら、何だかあきれるほどスムーズで驚いた。普通に質問すると、ちゃんと答えが返ってくる。単なる個人差かもしれないが、おばさんになると良いこともあるなあと思った。無理しなくていいのだ。


おばさんの効用その二:ダメ出しに動じなくなる
数年前までは、仕事でダメ出しをされたりやり直しを指示されると、ほとんどパニックになっていた。表面的には平静を装っているが、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、と思ってしばらく固まってしまう。座って気持ちを落ち着けて、やるべきことを書き出して作業を始め、リカバーできるめどがついて初めて安心した。


今では「なるほど、教えてくれてありがとうございます」と素直に思うばかり。なぜなら、おばさんにダメ出ししてくれる人は少ないからだ。これは良い勉強の機会。言われたことを咀嚼して、ひとつずつ淡々とこなしていく。


たぶん、子どもが生まれたせいもあるだろう。あの、眠れない、授乳とオムツ換えとシーツ洗いのループに比べれば、仕事のやり直しには理由があるから、平静に受け止められるのかもしれない。


おばさんの効用その三:あきらめがよくなる

20代の頃、理由もなく要望を断られると、ものすごく腹が立った。これはあんたの仕事でしょうが! と喉まで出かかったりして。最近では「この人に言ってもだめだな」と判断したら、あきらめて、なるべく笑顔で愛想よく、すーっとその場を離れる。すると意外に、相手から折れてきたりするから不思議だ。


そんなわけで、いつまでも若く、と無理しなくてもいいんじゃないかと思うのだ。働く女性のみなさん、おばさんになると、いいことがいっぱいあるよ。早くこっちへおいで、と。