色々あるにも関わらず、働く母親の間で勝間さん人気が衰えない理由を考えてみました。言わずもがなですが、これは私の個人的な見解であり、所属組織とは一切関係ありません。


不思議なことに、勝間さんがネットや週刊誌でたたかれるたび、私の周りの働く母親からは応援の声が聞こえます。面白いのは彼女たちが、必ずしも勝間さんのようにキャリア優先ではないこと。学歴も職歴も高めですが、育児のために仕事をセーブしたり、転職したり独立して仕事をしている人もいます。勝間さんのようにバリバリ働きたいわけではないけれど、勝間さんのことを支持しているのです。


なぜでしょうか。


勝間さんのようになりたい/なれるとまでは思わない、働く母親たちが、それでも勝間さんを応援してしまう理由。それは、勝間さん批判の言説の根っこにある、女性差別的な匂いに気づいているからです。もし、勝間さんが言ったり、行ったとされる言動を中高年男性がしたならば、あそこまで言われるでしょうか。例えばある週刊誌の勝間さん批判の記事は、読後気分が悪くなったほどに、女性差別意識が丸出しでした。


企業の女性活用が進んできて一昔前よりだいぶよくなりましたが、今の日本はまだまだ男性優位だし、本音のところでは女性差別が根強く残っています。長時間労働できない/したくない、働く親にも優しくない。育児にコミットしているビジネスパーソンは、父親も母親も、どこか遠慮しながら働いているのです。


私生活をハッピーに保とう、陰口を言われたり足を引っ張られないで働き続けようと思ったら、ものすごく気を使って「出過ぎないように」しなくちゃいけません。子どもを持ちながら働く女性や最近増えている育児する父親たちは、子どもとの時間を守るために、職場で無用な軋轢を避けるように努力しています。


例えば自分より優秀とは思えないのに、単に年上だったり勤続年数が長いだけの男性上司や取引先からおかしな指示を出された時。正面きって争う人は少ないでしょう。そんなことに余計な時間を使いたくないから、取りあえず聞いておきます。


なぜなら、保育園や学童保育のお迎えに行きたいからです。もし、幸福な家庭生活という、最優先で守りたいものがなければ、こんな奴の言うこと聞かずにとことん、言い返すのに…と思いながら、子どもに夜、本を読んであげる時間や、宿題を見てあげる時間を確保するために、黙っているわけです。友人・知人の働く母親から悔しかった経験を聞いて、何度、代わりに怒鳴り込みに行ってあげたいと思ったことでしょう。しかし、残念ながら、会社員の身でできることは限られています。


そんな働く母から見ると、勝間さんは周囲にどう思われるか気にせず、言いたいことを言えているように「見える」。「私たち」が周囲と不要な軋轢を生まないために、あえて言わずにいることを、彼女は代わりに言ってくれるように感じる。フリーで稼いでいる勝間さんは、組織の論理からも自由です。


だから、ある種の人々が勝間さんをたたけばたたくほど、その構図は働く母たちの目に、自分たちも我慢を強いられている日本の保守的な社会の写し鏡に見えるのです。そして、ますます、心の底で勝間さんにエールを送るというわけです。