JICAのブータン幸福度調査セミナーに登壇しました。



とても面白かったです。基調講演のブータン王立研究所カルマ・ウラ所長のお話では、様々な調査項目を精査し、幸福度を把握しようとする試みが語られました。収入など経済だけでなく、コミュニティの状況や、悩みを相談できる人がどのくらいいるか、といった人間関係の豊かさにも着目する調査で、日本の諸課題を分析するにも役立ちそうです。


もうひとりの基調講演は養老孟司先生。経済的に「意味」を持つものと持たないもののうち、前者だけに価値を見出す社会の危うさを指摘する言葉に説得力を感じました。ウラ所長はお話の中で、野生動物による農作物被害に言及した際、動物と人間が対立するのではなく共存していく考え方に触れていました。休憩時間に、ブータンの山中の様子をビデオで見せていただいたのですが、けもの道を通るサル、シカ系のように見える動物、ヤマネコっぽい動物に加えて虎が表れたことに驚きました。


こうした動物が「いる」ことに、生産性とは違う観点から「意味」を見出す社会は、やはり、豊かだと思います。私自身、東京都内ですが都心部から郊外へ引っ越して、ある夜、家の近所で狸を見た時の何だか嬉しい感じをよく覚えています。


内閣府の手掛ける幸福関連調査のお話も興味深かったので、さっそく次の連載コラムでご紹介かたがた書いてみます。会場近くで働く高校の同級生が来てくれて、写真をとってくれました。