ストラスブールで考えたこと

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欧州評議会の建物前にはためく旗たち

 日本時間の1月28日深夜0時すぎに羽田を出発し、31日朝7時前に帰国。機内2泊、現地2泊の強行日程でストラスブールへ行ったのは、私も一緒に行った大崎さんも、27日と2月1日に日本で仕事が入っていたため。

 文字通り弾丸出張でしたが、密度の高い時間を過ごしました。

 私たちのミッションは、日本のジェンダー平等への取り組みを欧州評議会議員やストラスブールのキーパーソンに伝えること。欧州評議会の掲げる、民主主義、人権、法の支配という価値観を共有する国として発信・交流するのが目的です。

 報道やさまざまな調査から、ヨーロッパ=進歩的な価値観というイメージを持っていたのですが、50カ国近い加盟国を持つ欧州評議会は多様。必ずしも西欧と価値観が同じではありません。

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石畳の道、建物の統一感は歩いていて楽しい

 

 日本はジェンダー問題について、課題の多い現状ではありますが「ジェンダー平等を目指していく」ことは決まっています。欧州評議会加盟国の中には、ジェンダー研究が弾圧されたり、女性に対する暴力反対を家族崩壊と結びつけたり、ゴール共有自体が難しい国もあります。

 ゴールを共有できている者同士という意味で、日本からの発信は熱心に受け止められていた感じがします。政府が国際女性会議を主催していることは、好意的に受け止められていました。

 講演で印象的だったのは、大学生が熱心に質問をしてくれて、その質が高いことです。指導教官の先生によると「できるだけ、議論をしています」ということです。

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大聖堂。彫刻が細かく、そびえたつ建物は迫力があります

 もうひとつ興味深かったのが宗教について。特定の宗教が女性の服装に課している決まりについて、フランスの女性知識人が反発を隠さなかったことに驚きました。フランスは「ライシテ」と呼ばれる政教分離の国です。色々な宗教実践を多様性の名のもとに受け入れることを是とする価値観とは、だいぶ違うのだな、と思いました。

 「欧米」とひとくくりにされることもありますが、アメリカ型のポリティカル・コレクトネスが、そこまで浸透していないところも面白かったです。

 海外へ行くと、日本を相対化できる、という話を聞いたことがありますが、今回はそれを深く実感しました。