三重旅行②文楽

 

 友人がチケットをとってくれて初めて文楽を見ました。最初の解説がとても分かりやすかった。
 「菅原伝授手習鑑」のストーリー展開に驚きつつ唖然として見入ってしまいました。平安時代を舞台に、讒言で左遷された菅原道真の息子の首を取ろうとする人々と、それを匿う寺子屋の主人のやり取りを描きます。
 寺子屋主人は道真に恩義があり、若君を殺せないから、代わりに別の子どもを殺してしまいます。最後の種明かしで、身代わりに殺された男の子が誰だったのか分かります。かつて道真から恩を受けたのに敵対する状況に陥った松王丸という人物がいます。松王丸は道真への恩義に報いるため、自分の子を犠牲とした差し出した、という構図です。
 主君への恩を親子愛より優先させる封建的な価値観、若君を生きながらえさせることで主君の血筋を守る血縁主義、どれも現代の常識と全く異なるため、先が読めず、Netflixのストーリー文法に慣れ切った私には新鮮でした。
 平安時代にこのような価値観があったのか分かりませんが、人形浄瑠璃が始まった江戸時代には「あるある」で「泣ける」お話だったのかもしれません。