昨日から週1回・90分の英語レッスンを受け始めた。

「ネイティブ・スピーカーでジェンダー問題に興味がある人を探したい」とベスに相談したら「いい人がいるわよ」と早速紹介してくれたのがジリア。ミシガン大学の博士課程に在籍中で日本滞在経験もあり。先週、顔合わせをして良い人だったので早速お願いすることにした。料金は1回50ドル。

単語選び・文法・発音・アクセントがおかしかったら、遠慮せずに話の途中でもいいから止めて直して---と何度もしつこく頼んでおいたからちゃんと直してくれる。まずは主語と述語が一致しないという問題から。中学英語で習った "三単現のs" も話に夢中になると忘れてしまう。受動態で話すべきところが能動態になっているのも聞き逃さないので、良い先生を見つけたと思った。

昨日のレッスンでいちばん面白かったのは、女性の敬称について教えてもらったこと。"Ms." を使っておけば未婚者にも既婚者にも安全かと思っていたが、話はそんなに簡単ではないらしい。「女性が結婚しているかどうか気にする人はまだ多いのよ。同じミシガンでもAnn Arbor なら Ms. で全然問題ないけれど、デトロイトでは既婚女性にMs. は使わない方がいい。ちゃんとMrs.と言わないとダメ」と聞いてびっくり。ロサンゼルス出身の彼女に言わせればデトロイトはかなり保守的な街に映るらしい。

さらに驚いたのは既婚女性の呼び方だ。例えば Yamada Akira さんと結婚した、Yamada Yumi さんを何と呼ぶか。リベラルな街なら "Ms. Yamada"、 ちょっと保守的な街なら "Mrs. Yamada"、ここまでは想像通りだけれど、非常に保守的な町では Yamada Yumiさんは "Mrs. Akira Yamada" と呼ばれるそうだ。本人の名前はどこへ・・・。

日本でも「私は『○○さんの奥さん』や『××ちゃんのお母さん』じゃないのよ!」という主婦の不満を耳にすることがあるけれど、"ミセス・ダンナのフルネーム" はそれを上回るアイデンティティーの消失だ。アメリカって進んでいると思ってたのに、先進性と保守性の幅の広さにあらためて驚く。

昨日はオフィスでも既婚女性の苗字に関する雑談が交わされていた。「昔は女性が死んだ時に新聞の訃報欄に載っても、苗字が変わってしまっていて誰だか分からないことが多かった。今では若い既婚男性の中には自分の苗字と妻の苗字をハイフンでつなぐ人も増えてきて、だいぶ変わってきたわね」というのを聞いて思い出した。そういえば、日本でも夫婦別姓の議論があったっけ。いっそ、両方の苗字をくっつけてもいいんじゃないか。"山田鈴木優子" とか。

写真は英語のレッスンをしているカフェがある本屋で、東洋風の御香とか瞑想グッズを売っていて、いかにもリベラル・ヒッピー学生受けしそうな雰囲気です。