古書か図書館で入手するのが少し手間ですが、身体の底から元気になるでしょう。
当時、女性がお見合い相手に「一夫一婦制をどう思うか」と問うても「約束はできない」と言われたそうです。つまり男性の婚外性交を社会も法も是認していました。もちろん、女性は参政権すらありません。
ないものだらけの中、日本国内のみならず、時には海外からも資金集めをして、政治家や新聞社に働きかけ、地方をまわって講演し人々を啓蒙します。自由廃業した元公娼の教育、就労支援は各地の同志女性たちが担い、やがて政府からも相談をもちかけるようになります。
読み進めるうちに、現代日本で是とされているいくつもの慣習が100年後には「ひどいことが黙認されていた」と振り返ることになるのだろう、と思うはずです。
今から100年少し前、1920年頃、筆者はこのように考えました。
「婦選はマッカーサーの贈り物というのは誤りである。もちろん、国会や枢密院を通すのにマ司令部からの覚書が力となったことは争われない。しかし婦選がぜんぶ外部から与えられたというのは、事実ではない」(P190)
資金集め、政策提言、有力男性を味方につける戦略、国際潮流を学び必要なものを取り入れつつ、日本に関する誤解は正す毅然とした態度――参政権がない時代に、ここまでやった女性たちがいたことを知ると、今、自分が感じている多少の逆風はどうでもいいと思えるかもしれません。