国立近代美術館「鏑木清方展」

 ポスターやチケットに載っている美人画だけでなく、小さな絵、さらっと単色で描いた絵など展示数が多く見応えがあります。

 

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 出品目録2番目の「雛市」、興味深かった。20代の頃の作品で、文字通りお雛様を売っている市を描いた絵です。

 お雛様を見ている(欲しがっている?)女の子と母親の斜め後ろ姿が描かれていて、その手前に桃らしき花の咲いた木の束をかついだ裸足の女の子の後ろ姿があります。手前の女の子は今でいう児童労働者でお雛様を買ってもらうことはなさそう。日常の一瞬に階級差と美しいものを見る喜びが描かれる。
 それから、目録68の「讃春」。東京の春を楽しむ女性たちを描いた屏風みたいな2枚。右側は雙葉のセーラー服を着た女学生2人が水辺でのんびり。左側には船上生活の母子、船の上には桜の枝と花の鉢。
 ここにも階級差がはっきり見えて、両方とも春を楽しんでいる。
 これらの絵から「いかなる社会経済状況にあっても、美しいものを愛でる人の普遍的な心理
を見るのか「同じ季節、同じものを見ても置かれた立場が異なる」と見るのか、まったく違う視点もあるだろうから、つっこんだ解説を読みたいと思いました。