動物園にはよく行きますが、ここは一味違いました。


東京ドームほどの広さの敷地に、ゾウはもちろん、ライオン、しまうま、さるなど色んな動物たちがいて、かなり近くで見られます。園内で購入した動物のえさ(500円で小さなバケツ一杯分のニンジンやバナナが入っている)をあげることもできます。


えさをあげていると、同じ動物でも個性があることが分かってきました。特に面白かったのは、数頭いたラマ。中に一頭、すごく賢いラマがいたのです。気づいたのは、夫があげたニンジンの先だけかじって「ぺっ」と吐き出したのを見た時。「いらないのかな? ニンジンよりバナナがよかった?」と不思議に思いました。


しばらくして、息子がえさやりをしていた時のこと。このラマ、噛み砕いたニンジンを息子めがけて「ぷっ」と吐きかけたのです。息子は顔をニンジンだらけにして情けない表情で茫然…。ふき取った後「誰がやったのかなあ」と近くにいるラマの顔を見ていたら、挑戦的な態度のラマが一頭…。こちらを見て柵をこんこんと足で蹴っています。「おれにえさをやろうなんて10年早いぜ」と言わんばかりに歯をむきだしにして。


すごかったなあ…と思った後で、ゾウのショーを見ました。
楽器を鳴らしたり、小さな台に乗ったり、ゴール目がけてサッカーボールを蹴ったりと、色んなことができます。ボールの蹴り方も人(ゾウ)それぞれで「お仕事」という感じでゆっくり、ぽーんと蹴るゾウが大半で、キーパー役のゾウに軽く跳ね返されます。ところが一頭、やる気満々のゾウがいて、彼(彼女?)だけは鼻の先で持ったボールを軽く投げ上げた後に思い切りキックします。しかも、何度もトライ。このゾウはボール蹴りが好きなんだろうな、と分かります。


観客の子どもたちがゾウに帽子をかぶせてもらったり、鼻にぶら下がるショーもありました。写真の絵を描いているゾウは、4歳の子ゾウのゆめ花(ゆめか)。この子は、ひとつ芸をするたび「ぱおーん」と鳴いて鼻を上にあげ、拍手をせがむポーズをします。ゾウたちの背中には、それぞれ、タイから来たゾウ遣いの人が乗っていて、何をするのか指示を出しています。一人前になるには10年かかるそうですが、ゾウはゾウ遣いの指示を本当によく聞きます。


約30分のショーを見た後は、あらかじめ購入したチケットを持っていき、夫と息子がゾウに乗りました。結構、高くてスリルがあるそうです。ゾウ乗りアトラクションを見ている間、一頭のアフリカゾウが客席近くに立っていたので、えさをあげました。ゾウは鼻を腕のように伸ばし、鼻先を指先のように曲げてものをつかみます。さわってみると皮膚はかなり硬く、太い毛が生えています。


ゾウを見たことは何度もありますが、実際に触ったのは初めて。大型動物に触れるのは何ともいえない面白みがあります。もともと、息子をゾウに乗せてあげたくて来たのですが、子ども以上に夫の方が喜んで、ゾウの描いた絵も購入していました。


園内にはお土産屋さんがいくつかあり、その中のひとつに、園の情報を展示したスペースがあります。ゾウが絵を描くようになったきっかけ、姉妹施設の勝浦ぞうの楽園ができた背景などを知るのも楽しかったです。すべてのゾウが絵を描けるというわけではなく、筆とキャンバスの距離感をつかめず空振りしてしまうゾウもいること、楽しんで絵を描かず、義務的になってしまうゾウもいることなど、人間の子どもの教育にも通じるエピソードに感心しました。


宿泊は近くのゴルフ場に併設されたホテル。ビジネスホテル並みの価格ですが、部屋の広さ・豪華さはジュニア・スイート並み。もとはゴルフ場利用客向けに作られたようですが、ホテルのみの利用もできます。露天風呂つきの大浴場は新しく綺麗。しかも週末なのに空いていて、これは下手な温泉旅館よりお得!と思いました。


ホテル内のレストランの方がとても親切で、遊び疲れて夕食中に眠ってしまった息子のため、バスタオルをたくさん持ってきてくれたり(簡易ベッドを作って寝かせるため)「夜食に」とおにぎりを作ってくれたりしたのも感動しました。


タクシーの運転手さんによると、この界隈は「ゴルフ場銀座」と呼ばれているらしく、本当に至るところにゴルフ場があります。競争が厳しいから良質なサービスが生まれるのかもしれません。