昨日はクラスメートたちとフィラデルフィア美術館に行った。


美術館はとても広い。お昼ご飯をはさんで3時間かけて駆け足で一通り回る。私はアートに関する知識は皆無に等しいが、面白い展示がいくつかあった。1つめはタイル。なぜか前からタイルが好きなので、オランダ製のタイルの展示を楽しく見る。わりと写実的な絵柄から幾何学的な模様まで。2つめはゴッホの「ひまわり」の周りがガラ空きだったこと。あの有名なひまわりだというのに、人が全然群がっていなかったので、1度目は知らずに通り過ぎてしまったほどだ。これ、東京の百貨店に来たらどんなに混雑するだろう。3つめは日本に関する展示。何と、お寺と茶室を丸ごと移築しているコーナーがあった。さすがアメリカはやることの規模が大きいと思う。


展示に加えて私にとって興味深かったのは化粧室だ。女性用だけでなく男性用にも”BABY STATION”とあり(写真)、赤ちゃん用のベッドがついている。気になったので美術館のスタッフに尋ねてみたところ「最近は男性客が子供を連れてくることが多いから、たぶん3、4年前から付けました」とのこと。


以前、東京で育児休暇を取得した男性に取材した際、彼が不満を述べたことのひとつが、これだった。デパートなどの男性用化粧室には子供のオムツを替えるスペースがないということだ。こういうことのひとつひとつが、育児は女だけの仕事という役割分担を強化し、子育てしたい男性の気持ちをそいでいる。男性用化粧室に赤ちゃん用ベッドがあるところにはアメリカの先進性を感じたけれど、変化が比較的最近のものであるのは意外だった。日本もがんばれば追いつけるかも。


ところでこの日会った人々は、電車の車掌もお店の人も美術館の人も、みんな感じがよくて親切だった。30th Street 駅の警察官のおじさんなんて、美術館までどの道を行けばいいか、駅舎の外まで行って丁寧に教えてくれた。彼が「こんにちは」と言うので「日本語、話せますね」と言ったら「一言だけどね」とにっこり。このホスピタリティーを、あのレンタカー屋の女性スタッフに学んでほしいものだ(しつこいようだけれど)。