こちらに来て2カ月、店員より先に客がサンキューと言っちゃう風土にも慣れてきた。

接客態度の悪さを楽しむ余裕も出てきたはずだけれど、昨日は久々に頭にきた。NYからの帰り、ノースウエスト航空の搭乗口で客をさばいていたスタッフだ。

予定よりだいぶ早く空港に着いてしまったので、ノースウエストのラウンジでデトロイト行きの便を待つことにした。私の待ち時間があまり長いのに気づいた受付の人が「キャンセル待ちにしておいて、早い便で席が取れたら声をかけます」と言ってくれていた。

幸い、当初の予定より1つ早い便で席が空いた。「I guarantee」というラウンジ勤務の人の言葉を信じて搭乗口に走ったのが出発20分前。搭乗口に立っていた仏頂面のスタッフは信じられないことに「full」と一言で片付けて乗せようとしない。「ラウンジの人は空席を『保証する』って言ったんだけど」と食い下がると、やっと手元の機械で空席の有無を調べ始めた。

ぶつぶつ文句を言いながら、私があきらめるのを待っている様子がありありと分かる。さすがに頭にきて「guaranteeって言われたからここに来たの!」とほとんど喧嘩腰で言うと「誰も保証なんかできない」と反論してくる。結局、乗れたからよかったけれど(写真の航空券に手書きで記されている20-Cに座った)、こんな風に横柄な客にならないといけないのは本当に気分が悪い。

ところで、ノースウエストにはこの6年間に40回くらい乗っていて、全体に「我慢できないほどではないけど、日本企業の基準で言えばお話にならない」という程度のサービスレベルだ。そんな中でも感じが良かったのは全て男性スタッフだった。デトロイト空港でターミナルを間違えて出発間際にあわてていたら道順を丁寧に教えてくれたのも、自動チェックインの機械が上手く操作できないてもたついていた時に笑顔で対応してくれたのも、全部おじさんだった。昨日乗った便の客室乗務員は30代前半の男性で物腰は丁寧。

一方、搭乗口で私がキレかけた感じが悪いスタッフは女性だ。以前、機内で乗り継ぎ便について尋ねたら「I don't know」という信じられない答えをしたのも女だった。そういうわけで、私はノースウエストに乗る時は男の人が接客してくれる方が安心する。

こんな風に感じるのは、おそらく選択的な記憶のせいだろう。日本で接客にあたる女性は総じてものすごく丁寧だから、ノースウエストで働く一部のがさつな女性の姿が、私には強く印象づけられるのだと思う。

限られた体験をもってあるカテゴリーの人々をレッテル貼りすることが差別につながることは充分承知の上で、ひとりの客としてはノースウエスト航空には、もっと多くの男性社員に接客を担当させてほしいと思う。

日本企業がここ最近、女性を"登用"する時に理由として挙げるのが「消費者の気持ちが分かるから」ということだ。ただ、"登用"やら"活用"が進めば、きっと私が腹を立てたような種類の女も増えてくるはずだ。「消費者の気持ち」云々は女性の労働市場での地位が低すぎる日本の現状を打開する戦略としては有効だが、もう数年もしたら本当の意味で実力主義にすべきだ。そうしないと、一部の勤務態度の悪い女が女全体のイメージを下げてしまう。