オフィスから徒歩10分のところに生協の食料品店兼カフェがあります。

日本食用のお米が売っているので、定期的に足を運びます。よく行く食料品店の中ではここが一番政治色が濃い(=リベラル)ので、品揃えや客層を眺めているとなかなか興味深いです。

一消費者の視点で近隣の食料品店を品揃えの点から分類すると、3つの要素があるように思えます。①値段の高低、②オーガニック製品を置いているか、③フェアトレード製品を置いているか。①と②は関連があり、オーガニックを取り扱っている店ほど値段が高いことが見て取れます。

高級食料品店のWhole Foods(ホールフーズ)が良い例で、ここにはオーガニックの野菜や果物に加え、放し飼いの鶏肉などいわゆる「自然な」食料品が多く売られています。当然、客の所得も高そうで、雑誌の「LOHAS特集」にでも出てきそうな高学歴プロフェッショナル風のカップルや、子供に趣味の良い服を着せたおしゃれなお母さんが行きかっています。ここのステーキ肉や鮭は他の店の倍の値段ですが、味もやはりそれなりです。ちょっとスノッブすぎる感じもしますが、お菓子もお惣菜もいろどりが綺麗で美味しそう。巨大なデパ地下風の店内を歩いていると幸せな気分になってきます。

Whole Foodsが「健康とか環境とかに気を配る私」という雰囲気も一緒に売っているとしたら「環境とか人権とかに気を配る私」という雰囲気を商品棚に並べているのが生協で、私はまさにターゲット層。生協にはオーガニックだけでなくフェアトレード製品も売っています。Fair Trade(フェアトレード:公平な取引)とは読んで字の通り、生産者から適切な価格で農産物などを買い上げること。コーヒーやカカオ、お茶などを市場価格の変動に関わらず一定の値段で購入し続けることで、生産者の経済的自立支援をしようという考え方に基づいています。

生協で扱っているフェアトレード製品には、お茶やチョコレート、コーヒー豆などがあります。コーヒー豆の入っていた紙袋(写真)はBiodegradable(生物分解性)のもの。会員カードを出すと学生は日曜に7%引きで買い物が出来ます。加入の際は60ドル払いますが、これはデポジットなので退会時に返してもらえます。カードを持っていない人も普通に買い物できます。

30年前、"政治の季節"の大学キャンパスから抜け出してきたような雰囲気のお客さんも珍しくありません。併設されているカフェで隣に座った若いお父さんが3歳くらいの女の子に野菜料理ばかり載った一皿を食べさせていたこともあります。マクドナルドで見かける親子連れとは体型だけでなく思想まで違いそうです。「チベットを自由に!」と書いたTシャツを着ている人もいたりして、リベラルウォッチが趣味の私には観光地気分で楽しめる店です。