「女性の視点を活かす」という表現は、あまり好きになれなかった。


企業が女性労働力を「活用」する理由としてよく使われる。特に消費財の開発に際して、女性の感性を生かすと消費者の考えを反映できると言われる。


こういう表現を見聞きするたび、なぜ男性の視点ではダメなのか、と思ってきた。性別ではなく、消費者として地に足のついた生活を送っているかどうかが問題だろう。例えば5年前の私に炊飯器の開発を任せても、絶対にいいものはできなかった。当時は会社人間だったから、家でご飯を炊くのは数カ月に1回だった。当時の私のような女性をいくら活用しても、ろくな家電商品はできない。


しかし最近「こればかりは女性の視点を活かすしかない」と思える商品に出会った。授乳服だ。


1日8〜12回授乳するので、いちいち服を脱いだり袖だけ抜いたりするのが非常に面倒になってきた。いくつかの通販会社から数着の授乳服を買ってみたところ、とてもよかったのだ。特にここここ


ともに女性経営者で、自社開発の製品をインターネットで販売している。デザインも使い勝手もいい。配達は注文の翌々日。手書きのメッセージカードまで同封してあり、ちょっと感動した。受け取りの連絡メールを送ったら、すぐに返事がきて感心。小さな会社ならではの丁寧な仕事ぶりだ。同封されたカタログには、授乳が楽になると育児がいかに楽しくなるか書かれており、励まされた。これまで何となく胡散臭い思いで眺めてきた「女性の視点を活かす」という表現、こうした企業にはぴったり当てはまる。


ちなみに大手企業が運営する通販雑誌も利用したが、こちらは1週間以上待たせた上に欠品もあっていただけなかった。次からはインターネットを利用して、買えるものはなるべく、小さな店から買おうと思う。