アメリカの家庭では食事時に男性もよく働く。


今日はサンクスギビングだったので、お昼は連れ合いの指導教官であるY教授がランチに、夜は私のリサーチについてアドバイスをして下さったR教授がディナーに招いてくれた。メインは七面鳥。グレービーソースやクランベリーソースを添えて食べる。炊いたり蒸したりしたお米にサラダや温野菜が付く(写真)。昼と夜では少しずつ食材が異なったが、どちらも栄養のバランスが良い上にとても美味しかった。


印象に残ったのは食事の支度や後片付けの際、夫である大学教授たちが率先して動いていたこと。飲み物を持ってきてお皿を下げ、食後のお茶を淹れる。R教授はこの間会った時「料理は妻の方がずっと上手だからまかせることが多い。でもお皿は僕が洗うことが多いかな」と言っていた通り。焼き立ての七面鳥を切り分け、デザートのアップルパイを作ったのもR教授。


今日は特別な日である上、来客があったためいつもより働いたのかもしれない。そういう要素を差っ引いても彼らはかなり偉い教授なので、家庭内でこんなに動くのを見るとやはり感心した。招いてくれたのは夫婦そろって大学教授で子供が2人という家庭。妻のキャリアと家計を半分負担している状況を鑑みれば夫が家事を積極的に担うのは当然と考えているそうだ。統計から見える日本男性の家事時間の短さ(アメリカ男性の3分の1)を考えると、日本なら大半の男性は座って食事が出てくるのを待っていることが容易に想像できる。


食卓を囲んだのは少人数で、招待してくれた教授一家にゲストは私たち2人と大学院生1人。内輪の集まりだったためか、通常、パーティーではタブーとされる宗教と政治の話もバンバン出てきた。「日本にもキリスト教保守派のような団体はいるか」と聞かれたので、オウム真理教自民党政権を支える宗教団体について説明した。R教授の奥さん(古代ペルシャの考古学が専門)はイラン女性の実態について教えてくれた。スカーフを被ってはいるが、時と場所によっては相当、自由に振舞えるようだ。旧東ドイツ出身の大学院生はベルリンの壁が崩壊した日の様子について聞かせてくれた。本を読んだりメディアを通じて分かったつもりになっていたことを、直接の観察者から聞くのはいつも面白い。