赤ん坊の色々な表情を見るのは面白い。


空腹時にオムツを換えると、まるでこの世の終わりのように真っ赤な顔で泣きわめく。一方、満腹だと何をされようが気にせず、平和な顔でぼーっとしている。


お腹が空いたとか、オムツを換えて欲しいとか、かまって欲しいといった欲求がある時は、顔をくしゃくしゃにして、情けない顔になる。昔話に出てくるおじいさんみたいでおかしい。


本来、他人に何かしてほしい時は、可愛い顔をしてみせた方が得だ。年をとり知恵がついてくると、そういう戦略を自然に体得していく。自分が欲しいもの、言葉、反応を相手から引き出すために媚びてみたり、本心と違う表情を作ったりする。


そういう計算なしに、ヘンな顔を見せてくれるのが赤ん坊。自分を含めた大人が、べたべたの自意識に塗り固められて生きていることをあらためて思い知らされる。