この流れはいずれ、日本にもやってくるだろう。


アメリカのFamily & Work Instituteの最新調査によれば、共働き家庭で女性の家計貢献度は44%に達している。夫婦は経済的に対等に近づきつつあるのだ。女性はもはや、子どもを産んでも、男性と同程度のキャリアへの意欲をもつ。


女性が「稼ぐ」ようになる一方、男性は「育てる」役割を、昔と比べてより多く担うよ うになった。男性の育児時間は30年前の1.5倍に増えている。


私がいちばん興味深く思ったのは、仕事と家庭の板挟み(いわゆる"work life conflict")にこまっていると答えた人の割合は、共働き家庭でみると、女性より男性の方が多いことだ。そして、専業主婦家庭の男性より、共働き家庭の男性のほうが、よ りこまっている。


理由を推測するに、働く母親へのサポートは整ってきたが、父親へのサポートは不十分 なのだろう。


男性の働き方も徐々に変わってきているが、専業主婦 を持つ男性と共働きの男性では、使える時間資源に大きな差が出る。同じ共働き男性といっても、子どもの有無や育児にどのくらい関わるかによって、生活リズムは違ってくる。そして、現状では「妻と同じくらい家事や育児に時間を割く」男性はまだまだ少数 派である。


かくして女だったら、母親だったら、配慮してもらえる場面で、男性たちは孤独感を味わうことになる。それは例えば、夜の会議であり、休日であろうとメールに即レスする ことを期待されることであったりする。


アメリカの若い父親たちが抱える「両立への葛藤」問題は、今後、日本でも(女性ではなく)男性の問題として認識されるようになるはずだ。