学齢の女児にとって、ピーター・ラビットは「かわいい持ち物」だった。


お弁当箱やお皿、文房具についている「キャラクター」とみなしていたのだけれど、本業は絵本。半分は自分が欲しくて、半分は子どものために購入し、最近、動物の物語に関心を持つようになった3歳児に読み聞かせてみた。まずは箱入りの最初の3冊。


緻密なスケッチに綺麗な色がついた挿絵をうっとり眺めつつ、声に出して読んでいると、これはシリアスな話だったんだ、と気づいた。


第一巻では主人公のピーター・ラビットが、近所の農家の畑に忍び込み、オーナーのマクレガーさんに追い回され、命からがら逃げかえる。何せピーターのお父さんは、この人に捕まって「肉のパイ」にされてしまったのだ。必死で逃げなくてはいけない。第二巻ではピーターといとこのベンジャミン・バニーが、やはりマクレガーさんの家に行って怖い目に遭うし、第三巻ではベンジャミンの子どもたちが、マクレガーさんに捕まって皮をはがれそうになるけれど、途中でネズミに助けられて逃げ出す。


農業を営む人間と、農作物を荒らす野ウサギとの、命がけの戦い。ウサギは捕まったら命がないし、マクレガーさんだって、作った野菜を食べられたら大損害である。


ページをめくるたび、素敵な絵…と思って眺め、文章の方に目をやると、ひらがなでたんたんときびしいげんじつをえがいている。こえをだしてそれをよんでいると、なんだかふしぎなきぶんになってくる。


3歳児はウサギと人間の追いかけっこが気に入ったようで、新しいのを出してやると、まずは全ページをめくって挿絵をチェック。「マクレガーさんがいるかどうか」確認する。今のところ、そのニーズは満たされているようなので、続きも入手しようと思っている。