日曜の朝、ピクニックに行く準備をする一家の様子が描かれる。


主人公は4歳くらいの女の子・あやこ。この年頃に多い「なんでも自分でやってみたい」気持ちで、色んなことに挑戦する。


「お手伝い」しようと、母親が作ったお弁当の中身を箱にぐしゃぐしゃに詰めたり、父親が準備したバッグの中身をぶちまけてしまったり。「きれいにしよう」と化粧品を顔に塗りたくったり。果ては一人で玄関から外に出て転んで服を泥だらけにする。


読み聞かせるたび、我が家の3歳児はこうした「いたずら」や「失敗」が面白いようで、絵を見て、それから私の方を見て、くすくす笑う。私も「そうそう、子連れだと外出準備に手間がかかるのよね」と共感できる。


それにしても、主人公が引き起こす面倒を両親はきわめて寛容に受け止める。せっかく作ったおにぎりや煮物を台無しにされた母親は「あらあら」と言うだけだし(私だったら「こら!」と言いそう)、父親だって全然怒らない。出かける間際に化粧品やら泥やらで顔や服を汚しても「おかあさんはタオルでごしごしと」拭いたり着替えさせてくれるだけ。「もう、何やってるの!」なんて怒ることは、ない。「やれやれ」とすら、言わない。子どもが面倒を起こすのは当然、と思っているようだ。


つまり本書で描かれるのは、典型的に元気な4歳児の姿と、それを理想的な形で受け止める両親の姿である。我が家の「あやこ」はこんなふうに伸び伸びしているだろうか、と、親の言動を顧みるのにも適した絵本だ。