"移民"と"ミドルクラス"体験もよく話題に上った。


昼食時はカリフォルニア州選出のロレッタ・サンチェス議員(写真)の講演を聞いた。「アメリカン・ドリームって何でしょう? それは私です」。両親は移民だという。兄弟姉妹が6人もいて、妹(かお姉さん)も国会議員。確かにアメリカン・ドリームだ。


彼女の話には説得力がある。子供の頃はヘッドスタート(低所得者の子供を対象にした就学援助プログラム)に通い、英語を学んだ。学費の安いコミュニティ・カレッジに通い、奨学金をもらって修士号も取得した。要するに公教育が今の地位を作り上げたのだ。「かつてコミュニティ・カレッジは、1クラス5ドルで受講できた。皆、そこで英語を学んだ。今、5ドルでは1回の駐車場料金にしかならない」。


11年に及ぶ議員生活では公教育問題に取り組んできたそうだ。豹柄シャツに真っ赤なスーツ、フルメイク。派手ないでたちに最初は驚いたが、演説は本当に上手だった。最近の関心は健康保険で、アルツハイマーに罹った父親を兄弟で交代して看ているという。実体験を上手く織り込んだ話には真実味があり、間の取り方も絶妙。会場はシーンとして聞き入っていた。


航空会社の元客室乗務員とも話をした。かつて客室乗務員は年間6万ドル稼げたが、9.11以降は非正社員を増やし賃金をカットしているという。日本と同じ状況だ。彼女もまた移民の2世。両親はドイツとデンマークから来たそうだ。


「父親はトラック運転手、母親は看護婦だった」。あるスピーカーは開口一番、こう話した。「両親の賃金は私を大学進学させるのに充分だった」。今、同じ職業に就く夫婦が子供を大学にやるには莫大な借金をすることになる。


こうした話から「真面目に働けば子供に高等教育を受けさせ、より良い生活ができる」というアメリカン・ドリームを多くの人が体験してきたことが分かった。彼らの主張は外国人の私にも非常に共感できるものだった。それが有権者の関心を惹けるかどうかはまた別の問題であるが・・・。