本当の「女性活躍」は、女性が外で働くことを推進するだけでなく、女性がこれまで担ってきたケアワークを正しく評価することが重要です。そして、男性や社会とケアワークを分かち合うことが必要だと思います。
続いて、パネルディスカッション。コーディネーターの井原理代先生(香川大学名誉教授)は1970年代から経済学者として働いてきたパイオニアです。育休のない時代に「自分から絶対にやめない」という決意で仕事を続けてきたご経験を控室でうかがいまいた。こういう方々が道をひり開いて下さったんだなあ、としみじみ尊敬の念を覚えました。
パネリストの黒川眞弓さん(有限会社たも屋専務取締役)は、国内外でうどん屋さんを経営する企業の経営者。中には、女性スタッフ主体で構成される店舗「女道場」があります。シンポジウムの前に私も食べに行きました。
徳倉康之さん(NPO法人ファザーリング・ジャパン理事&株式会社ファミーリエ社長)は、子育て中の30代パパであり、医師の妻のキャリアをサポートするため育休を取ったご経験をお持ちです。徳倉さんが「家族にとって合理的」と判断して育休を取ったエピソードは何度聞いても、納得感があります。日本企業には「制度はあるが風土がない」という指摘に心から共感します。
馬場加奈子さん(株式会社サンクラッド社長)は、学生服リユースショップ「さくらや」を経営しています。ひとり親として3人の子育てをする中で、制服のお下がりニーズに気づいた、と言います。お母さんが働きやすい店にするため、週4日、10時〜15時のみ営業というポリシー、もしスタッフの子どもや自身が熱を出したら「臨時休業にすればいいよ」という覚悟。社会起業家の鑑みたいな方で、今後は「子ども食堂」を運営する予定だそうです。
このシンポジウムの特徴は、大西秀人市長が開会あいさつだけでなく、自ら登壇していること。自身の結婚や家族生活を振り返り、旧自治省のキャリア官僚として忙しい日々を送る中、主婦家庭でありながら工夫して育児に参加してきた経験を自分の言葉で語る様子が印象的でした。配偶者控除などの税制を変えるべき、と明言しており、保育料は第二子・第三子無料という思い切った施策を打ち出しています。